がん保険の適切な選び方とは?3つのポイントを紹介
2024.02.27
がん保険は、さまざまな保険会社が取り扱っており、保障内容も多種多様なので、選ぶ際に迷ってしまう方も多いでしょう。
がん治療は長期にわたる傾向があるので、長く寄り添ってくれる保険を選びたいところです。
そこで本記事では、がん保険の適切な選び方と、選ぶ際に気を付けたい3つのポイントを紹介します。
がん保険の基本的な保障内容もあわせて解説しますので、ご自身にとって最適の保険を選ぶ際にお役立てください。
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がん保険の目的
がん保険は、がんを患った際に発生する費用をカバーし、経済的な負担を軽減するための保険です。
医療保険でも、がんに対する給付金は受け取れるものの、給付金が支払われる日数に上限が設けられています。
がん治療は、がんの転移や再発などの理由で、治療が長期化するおそれがあります。
そうなれば、治療費を医療保険のみで賄いきれないのが実情です。
長期の治療にかかる費用に不安を感じる方は、がん保険に加入して、がん治療に掛かる医療費をカバーする必要があるのです。
がんの罹患率とがん保険への加入率
男女問わず、年齢を重ねるごとに、がんを発症するリスクは高まります。
そのうえで、男女別の傾向を確認しましょう。
公益財団法人がん研究振興財団が、2022年に実施した調査によると、がんの罹患率は、男性の場合40代から徐々に上昇し、50代に入ると急激に増加しています。
対して、女性は、20代後半から緩やかに増えていきます。
女性の罹患率が、男性と比較して早い時期から上昇するのは、女性特有のがんが理由です。
女性特有のがんとして、子宮頸がんや卵巣がんが挙げられますが、特に罹患者数が多い乳がんは、30代から急激に増しており、40代でピークを迎えます。
そのため、女性はできる限り早い時期からがん保険に加入して、がんのリスクに備えておく必要があるのです。
なお、がん保険の加入率を見ると、2010年の時点で33.1%なのに対し、2019年の加入率は42.6%です。
2022年には39.1%と落ち込んでいますが、2010年の加入率と比べると高い数値を維持しており、がんに備える意識が高まっているのがわかります。
その背景として、がんという病気が広く認知され、いつ自分自身や家族が罹患してもおかしくないという不安が影響していると考えられます。
総じて、男女にかかわらず、がんの発症に備えて、早めにがん保険に加入しておくことが大切です。
【参照元】
公益財団法人がん研究振興財団 がんの統計2022
公益財団法人生命保険文化センタ
がん保険の保障で受け取れる給付金
がん保険の保障で受け取れる給付金には、さまざまな種類があります。
どのような給付金があるのかを押さえて、がん保険を選ぶ際の参考にしてください。
がん診断給付金
がん診断給付金は、がんと診断された時点で支給される給付金です。
10万円単位のまとまった現金が支給され、受給した現金の使用用途は限定されていません。
がん診断給付金には、初めてがんと診断されたときだけ保障してくれる保険商品と、複数回にわたって給付金を受け取れるものがあります。
複数回、がん診断給付金を受給できる保険に入っていれば、万が一治療後にがんが再発しても、経済的な不安が解消され、治療に専念できるということです。
ただし、給付金を複数回受け取るには、前回の受け取りから1~2年以上経過していることが求められる場合があります。
規定の期間が経過していない場合、給付金が支給されない場合がある点に注意が必要です。
がんが再発した際の給付金の有無とあわせて、2回目以降の給付金を受け取る条件についても、事前に確認しておきましょう。
がん入院給付金
がんで入院した際、入院日数に応じて支給される給付金が、がん入院給付金です。
一般的に、契約時に設定した給付日額が支払われます。
医療保険では、給付金の支払日数が決まっており、その上限を超えたら給付金は支給されません。
ですが、がん入院給付金は、ほとんどの場合、支払日数の上限を設けていないので、治療が続く限り制限なく受給できます。
長期の入院が必要になった際も、入院期間中は給付金を毎日受け取れるので、経済的な不安が解消され、精神的な負担も軽くなります。
この点が、医療保険だけではなく、がん保険にも加入しておくとよい理由の一つです。
長期間の入院が必要になった場合に備えて、がん入院給付金が付帯したがん保険への加入を、検討してみてください。
がん通院給付金
がん治療で通院が必要になった際、がん通院給付金を受ければ、通院した日数に応じて給付金の支給が受けられます。
通院1日あたりに給付される金額は、一般的にがん入院給付金の給付日額と同程度の額です。
なお、保険会社によって、がん通院給付金における通院の定義が異なるので、注意してください。
たとえば、がん治療が目的であれば、入院の有無にかかわらず、日数の制限なしで保障してくれるケースや、入院を前提とした通院のみ保障されるケースもあります。
どの定義かによって、受け取れる額や保障が受けられる日数が大きく異なるので、事前に確認しておくことが大切です。
近年、がん治療は、入院による治療から、通院による投薬療法に変わりつつあります。
くわえて、がん特有の転移や再発を防ぐため、数年単位で経過観察や投薬治療を行うことが多く、以前と比べるとがん治療のために通院する機会が増えています。
今後は、がん保険においても、通院ごとに支給される給付金の存在が重要になってくるでしょう。
がん手術給付金
がん手術給付金は、がんの治療のために手術を受けた際に、支給される給付金で、施術の内容によって、支給される金額が異なります。
がん入院給付金の給付日額を基準として、10倍、20倍、40倍としているケースと、1回の手術に一律の金額を設定している場合があります。
手術でがん腫瘍を取り除くケースが多いがん治療において、手術に対する給付金があるのはうれしいところです。
がん手術給付金の支給を受ければ、手術によって発生する高額な費用を賄えるので、治療の選択肢の幅が広がります。
抗がん剤・ホルモン剤治療給付金
がん治療には、抗がん剤やホルモン剤による治療が欠かせません。
それら治療にかかる費用も、抗がん剤・ホルモン剤治療給付金でカバーすることができます。
抗がん剤・ホルモン剤治療給付金は、月ごとに給付金が支給されるのが特徴です。
給付金が支給される期間は、60カ月や120カ月と制限されるのが一般的ですが、一部の保険会社によっては、制限を設けていない商品もあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。
抗がん剤による治療は、複数回にわたるのが一般的で、治療期間が長期化する可能性もあります。
そのため、抗がん剤・ホルモン剤治療給付金のような、先々まで給付金が受け取れる保障があると安心です。
放射線治療給付金
放射線によるがん治療を受けた際にも、給付金を受け取ることができます。
施術を受けた日から、60日のあいだに1回支給されます。
2回目以降の給付金は、直前に受けた放射線治療から60日以上経過していないと受け取れないので、短期間で放射線治療を受けても、給付金が受け取れない点に注意が必要です。
放射線治療は、食道がんや皮膚がんなど、一部のがん治療に非常に有効とされています。
さまざまなリスクに備えるのであれば、放射線治療給付金がある保険を選択するのも一案です。
先進医療給付金
がん保険に先進医療給付金が付帯されていれば、先進医療にかかる高額な費用にも備えられます。
先進医療とは、一定の安全性と有効性が認められ、厚生労働大臣から承認を受けた、高度な医療技術のことです。
先進医療による治療を選択肢に加えると、治療の幅が広がる反面、治療費のほかに高額な技術料がかかります。
先進医療にかかる技術料は、公的医療制度の対象外となっており、全額自己負担しなければなりません。
その点、先進医療給付金が付帯されたがん保険を選べば、高額な費用の負担が減り、安心して治療を受けることができます。
がん保険の選び方
がん保険の保障内容は把握できましたでしょうか。
ここからは、がん保険の選び方について解説します。
保険商品のタイプを選ぶ
がん保険には、主となる保障が設けられており、商品ごとにその内容は異なります。
詳しい内容は、以下の表をご確認ください。
【がん保険の商品タイプの一例】
商品タイプ | 内容 | 特徴 |
がん診断給付金タイプ | ・がん診断給付金が主となるがん保険
・がん入院給付金やがん治療給付金が含まれる保険商品が多い | ・がんと診断されたらすぐに給付金を受け取れる
・給付金が一定金額なので、がんの重症度や治療方法に合っているとは限らない |
がん入院給付金タイプ | ・がん入院給付金が主となるがん保険
・がん診断給付金や、がん手術給付金が含まれる保険商品が多い ・入院日額を基準にほかの保障金額が決まる場合が多い | 入院日数に応じて給付金を受け取れるので、長期治療にも備えられる
・入院を伴わない場合、保障が不十分になる場合がある |
がん治療給付金タイプ | ・手術給付金や放射線治療給付金など、がん治療を受けると給付金が支払われるがん保険 | ・治療に応じて給付金を受け取れる
・治療費以外の負担をカバーできない可能性がある |
保障内容をより充実させたいなら、特約として保障を付加することもできます。
商品タイプを選定する際は、がん診断給付金が含まれている保険を選ぶとよいでしょう。
なぜなら、がん診断給付金は、がんと診断された時点で現金が支給されるので、経済的に不安があったとしても、安心感が得られます。
なお、上記の表はあくまでも一例です。
保険会社によって保障内容は異なるので、事前に保険タイプの詳細を確認しておくことをおすすめします。
診断時の保障が手厚いものを選ぶ
先述した通り、がん診断給付金は10万円単位で設定できます。
がんを患った際に、大幅な収入の減少が見込まれる方は、支給される金額を多めに設定しておくと安心です。
くわえて、がんの一歩手前の状態にあたる「上皮内新生物」と診断された場合の、診断給付金の有無を確認しておく必要があります。
がんに比べ、上皮内新生物は治療費があまりかかりません。
一部の保険商品には、上皮内新生物では診断給付金の支給がない、または給付金額が低く設定されているケースがあります。
とはいえ、給付金の支給があれば精神的な負担を軽減できるので、上皮内新生物も保障されている保険を選ぶとよいでしょう。
通院時の保障がある保険を選ぶ
がん治療が長引いた場合、がん診断給付金のみでは賄いきれない可能性があります。
繰り返しになりますが、がん治療は、通院による治療に変わりつつあり、がん通院給付金の重要性が高まっているのは事実です。
がん通院給付金は、治療費の自己負担分をカバーできるだけではなく、通院にかかる交通費も補えるので、保障内容に組み込んで損はないはずです。
治療ごとに給付金が支給される保険を選ぶ
がん治療には「手術療法」「化学療法」「放射線療法」と、基本となる3つの治療方法があります。
今までのがん治療は、主に入院をともなう手術療法が採用されていました。
近年は、化学療法や放射線療法が目ざましい進歩を遂げており、抗がん剤やホルモン剤を用いた化学治療は、手術療法にならぶ治療方法となっています。
そのため、がん治療は、通院による化学療法に移り変わってきており、入院を必要としないケースが増えてきています。
入院を前提に保険商品を選んでしまうと、いざ入院をともなわなかった場合に、給付金を受け取れないという事態になりかねません。
入院への備えはもちろん大切ですが、がん治療を受けるごとに給付金が支給される保障を選ぶことも必要なのです。
がん先進医療特約の付帯有無を確認する
がん治療の幅を広げるなら、がん先進医療特約を付帯すると効果的です。
がん治療で先進医療を取り入れる場合は、高額の費用がかかります。
先進医療を受ける選択肢があるにもかかわらず、治療費を払えずに諦めるのは避けたいですよね。
そのような場合、がん先進医療特約が付帯された保険を選ぶと、先進医療にかかる治療費の負担を抑えられるので、治療の幅を狭めずに済むということです。
適切な保険期間と保険料払込期間を選ぶ
がん保険の保険期間には、2つのパターンがあり、一生涯保障される終身タイプと、一定期間に絞って保障を受けられる定期タイプがあります。
終身タイプは保険料が一定の金額なのに対して、定期タイプは、更新ごとに保険料が高くなるのが特徴です。
また、保険料の払込期間によって、同じ保険期間でも保険料が異なるので、月々の保険料を確認して、適切な払込期間を設定するよう注意してください。
保険料の支払い方は、保険期間中に保険料を払いつづける終身払いと、短期間で払いきる短期払いの2つの方法があります。
終身払いと比べて、短期払いのほうが、月々の保険料が割高です。
とはいえ、短期間で払い終えれば、老後に保険料を払う必要がなくなるというメリットがあるので、ご自身のライフプランに合った保険料払込期間を設定しましょう。
がん保険を選ぶ際のポイント
次に、がん保険を選ぶ際のポイントを3つお伝えします。
各項目をすべて押さえて、適切な保険選びを行いましょう。
ポイント①がんと診断された際に給付金を受け取れる保険を選ぶ
がんと診断された際、すぐに給付金が支給される保険を選ぶと、経済的に安心できます。
がんは一度治ったとしても、転移や再発のおそれがあるため、長きにわたって付き合っていく病気であるのは間違いありません。
がん治療が長期化して、今までのように働けなくなった際、貯金を切り崩して生活するにも限界があるはずです。
費用が足りず、希望する治療を受けられなくなる可能性も考えられます。
そのような事態を防ぐためにも、がん診断給付金が支給される保険を選んで、治療や生活に充てる費用を確保しておくことが何より重要です。
ポイント②治療ごとに給付金を受け取れる保険を選ぶ
がん治療を受けるごとに、給付金が支給されるがん保険を選定することも、大切なポイントの一つです。
がん治療は、どの程度の治療期間を要するのか予測が難しいケースがあります。
治療ごとに給付金が支給されれば、費用の心配も軽減されるでしょう。
そうなれば、安心して治療に専念できるはずです。
入院や手術だけではなく、通院治療に対する備えも、十分に用意しておきたいところです。
ポイント③特定の保障に絞った保険を選ぶ
がんには備えたいものの、月々の保険料をできるだけ安く抑えたい方は、がん保険の保障を限定するのも一つの手です。
特定の保障に絞ったがん保険を選ぶことで、月々の保険料が抑えられます。
一部のがん保険は、がん診断給付金のみを保障するタイプや、化学療法に特化したタイプの保険商品があります。
このように、ご自身に必要な保障のみを切り出した保険商品を選択すると、月々の保険料を抑えることができるのです。
最低限備えておくべき保障を熟慮したうえで、特定の保障に絞るよう意識してください。
がん保険を選ぶ際は、備えたい目的を明確にして必要な保障を付加しよう
今回は、がん保険の選び方と、選ぶ際の3つのポイントについて紹介しました。
がん保険に入っていれば、給付金を受けられる日数に制限がなくなり、がん治療が長期化しても、費用を気にせず治療に専念できます。
また、がん保険には、多種多様な保障が用意されています。
主となるがん治療の方法が変わりつつあるなかでも、多くの選択肢から選定し、必要な保障を受けることが可能です。
ご自身が備えておきたい保障を明確にし、最適な保険を選びましょう。
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