コラム

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うつ病は就業不能保険の保障対象?

2024.02.27

ストレス社会とも言われている現代においては、うつ病も決して他人事ではありません。
うつ病を発症すると、長期間の休職を余儀なくされるケースも少なくないため、そうなってしまった際にどのように生活していくかを考えておく必要があります。

そこでこの記事では、就業不能保険の概要や、加入時の注意点を解説します。
就業不能保険以外の選択肢や、公的保障制度についても触れているので、ぜひ、最後までお読みください。

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うつ病で働けなくなるリスクはどのくらい?

うつ病をはじめとした精神疾患によって就業が困難になるケースは、決して少なくありません。
厚生労働省が令和3年に実施した「労働安全衛生調査」によれば、企業全体のうち、過去1年間に精神疾患による労働者の退職があった企業は、全体の10%にのぼりました。
このうち、従業員数の多い大企業に絞って見てみると、実に94%という高い値が出ています。
さらに、協会けんぽが実施した「令和元年度現金給付受給者状況調査報告」においても、就業が困難になった理由の首位は、精神疾患の31.3%でした。

このように、うつ病は私たちが考えている以上に身近な疾病なのです。
精神疾患から回復し、再び就業できるようになるまでには多くの時間を要するので、その間の生活費や治療費のひっ迫といった深刻な問題も起こります。

ストレス社会の現代において、精神疾患は、誰でもかかる可能性のある病気であるため、決して他人事と思わずに、備えを持っておきたいものです。

【参照元】
厚生労働省「労働安全衛生調査」

協会けんぽ「令和元年度現金給付受給者状況調査報告

うつ病に罹患したときに利用できる公的支援制度

うつ病患者の増加は深刻な社会問題でもあり、それゆえに公的支援制度も用意されています。
そのなかから、うつ病患者が利用可能な4つの制度を取り上げます。

傷病手当金

傷病手当金とは、病気や怪我を理由に、3日以上連続で欠勤した場合に、休業4日目以降より、手当金が支給される公的支援制度です。
手当金の支給額は、就業時の平均月収の3分の2と定められており、給付期間は最長1年6か月です。

会社員であり、健康保険へ加入している方のうち、支給条件を満たしていれば手当金を受け取ることができます。
さらに、退職後であっても、条件によってはさかのぼって支給の対象となる場合があります。

労災保険

労働者災害補償保険(労災保険)とは、従業員が業務中および通勤中、怪我や病気により、障害を負うか死亡した場合に、本人あるいは遺族が補償金を受け取れる保険です。
従業員が個々で加入するのではなく、企業が一括して労災保険へ加入する方式を取ります。

労災保険の支給対象としてうつ病が認められるのは、業務に起因する心理的ストレスが発症の引き金であったと認められた場合です。
労災認定された場合は、直近3か月の賃金の6割が給付金として支給されます。
また、労災病院や労災指定の医療機関で、無償の治療を受けられます。

自立支援医療

精神疾患になった際に利用できる公的支援制度としては、自立支援医療もあります。
自立支援医療とは、疾患の治療や通院、投薬、などの医療費の自己負担額を減免する制度です。
対象となる主な疾患としては、うつ病をはじめ、不安障害、知的障害、てんかんなどの精神疾患が挙げられます。

精神障害者保健福祉手帳

精神疾患に苦しむ方は、精神障害者保健福祉手帳の発行により、優遇措置を受けられます。

精神障害者保健福祉手帳を所有していれば、精神疾患により健康な生活を送ることが困難な場合に、税制面での優遇や、公共サービスの割引の対象者となります。
支給条件は、精神疾患と診断された日から起算して6か月以上経っても症状に改善が見られず、健常な日常、社会生活が困難と認められた場合です。

受けられる優遇措置は、各自治体により違いがあるので、所轄の自治体に確認を取っておくとよいでしょう。

就業不能保険とは?

さて、そろそろ就業不能保険の話に移りましょう。
就業不能保険とは、病気や怪我で就業不能となった際に、日々の生活を保障する保険です。
就業不能に陥った際は、前記の公的制度を利用することもできますが、それだけでは不安で追加保障が欲しい場合に任意で加入します。

なお、病気や怪我に備える保険として、ほかに医療保険がありますが、就業不能保険はどこが違うのでしょうか?

医療保険は病気や怪我に対する通院、入院、治療をはじめとして、一時的に医療費が発生した際に、それを保障する保険です。
一方、就業不能保険は、就業不能となった期間を通して毎月給与の代わりに、給付金が支給される仕組みであり、かかった医療費を補助する医療保険とはその点で異なります。

就業不能保険は精神疾患も保障の対象?

就業不能保険にはいくつかの種類があり、そのなかにはうつ病をはじめとした精神疾患を保障の対象とする商品も含まれています。
ただし、その数は決して多いとは言えません。
これは、精神疾患の特性上、客観的な数値により状態を表すのが困難であるほか、高い再発リスクなどが原因として挙げられます。

加入時に、各保険会社および商品の保障対象を入念に確認しましょう。
これ以降では、そんな、うつ病患者でも入れる就業不能保険を前提にお話していきます。

【うつ病へ備えたい方へ】就業不能保険以外の選択肢

うつ病をはじめとした精神疾患に対する備えには、就業不能保険への加入以外にもいくつかの選択肢があります。
本題に入る前に、就業不能保険以外で精神疾患のリスクに対抗できる民間保険を3つ紹介します。

引受基準緩和型の医療保険

引受基準緩和型は、保険会社への告知項目が少ないため、健康上の問題を抱えた方でも比較的加入しやすい保険の総称です。

任意の特約を付ければ、より広範囲の疾病に対する保障を受けられます。
反面、一般的な保険に比べて保険料が割高になるというのがデメリットです。

無選択型の医療保険

無選択型の医療保険とは、医師の診断や、既往歴などを告知せずとも加入できる保険のことです。
そのため、過去にうつ病にかかった経験があり、就業不能保険の加入条件を満たさない方でも、加入を検討できます。

ただし、免責期間が長くとられる傾向にあり、また引受基準緩和型と同様、保険料が高額なのが難点です。

少額短期保険

保険料を安く抑えて、リスクへの備えを講じたい方は、少額短期保険がよい選択肢となります。
少額短期保険とは、保険期間が概ね1年以内と短いものの、その分の保険料が抑えられた保険の総称です。
疾病があっても加入しやすい点も魅力です。

月々の保険料の負担を抑えつつ、うつ病に備えたい場合は少額短期保険の加入も視野に入れましょう。

就業不能保険を使ってうつ病に備える場合の心得

ここからは、就業不能保険に加入を検討する際に心得ておきたいポイントを3つ紹介します。

公的制度を併用する

先述の通り、就業不能保険は、精神疾患も保障の対象とするものの、支給の条件が厳しいほか、支給の回数が制限される契約内容も少なくありません。
そのため、うつ病などの精神疾患によって就業不能保険を申請する際は、公的制度の申請も並行して行うとより安心です。

おさらいにはなりますが、うつ病をはじめとした精神疾患に罹患した際に利用できる公的制度の一例としては、下記のものが挙げられます。

【うつ病に罹患した際、利用できる公的制度】

  • 傷病手当金
  • 労災保険
  • 自立支援医療>
  • 精神障害者保健福祉手帳

なお、会社員や公務員とは異なり、個人事業主やフリーランスの方は、基本的に公的制度による保障を受けられないという事実を知っておきましょう。
個人事業主やフリーランスなどの雇用形態では、国民健康保険のみの加入となるためです。
無論、これだけでは心許ないので、精神疾患への保障が手厚い民間の保険を探しつつ、しっかりと不測の事態への備えを講じる心構えが肝要です。

給付期間が長い商品タイプを選ぶ

なるべく給付期間が長い就業不能保険の商品を選ぶことも、忘れてはなりません。

繰り返しになりますが、一般的にうつ病を発症してから、快癒して仕事に復帰できるようになるまでには、長い期間を要します。
そのため、給付期間が十分でないと、まだ就業が困難な状態にもかかわらず保障が打ち切られるという事態になりかねません。

このような状況に陥らないためにも、給付期間が極力長い商品を選ぶ観点が重要なのです。

保険料と保障のバランスをとる

保険料と保障のバランスも大切です。
給付期間が長い商品を選ぶことが大切であるという点について触れましたが、給付期間が長い、あるいは給付額が高い商品は、その分の保険料も高額になりがちです。

うつ病などの精神疾患で入院している場合は、給付を長く受けられるに越したことはありません。
ただ、それを優先するがために保険料がかさんで、そのほかの保障に対応できず、また、資産形成がおろそかになっていては元も子もありません。
あくまで、現実的な支払額であるかどうかを検討したうえで、保険商品を選びたいところです。

就業不能保険への加入がおすすめである方

続いては、どんな方が就業不能保険への加入に向いているのかを見ていきましょう。

フリーランス・自営業の方

フリーランスや、一部の自営業の方は就業不能保険に入っておいたほうがよいと言えます。

フリーランスの方は、会社員や公務員と比べて、公的な保障を十分に受けられません。
そのため、仮に、うつ病などを発症して就業が困難になったとしても、その間の生活費などの保障はなされずに、生活が立ち行かなくなるという事態も十分に考えられます。

このような状況を避けるためにも、精神疾患対応の就業不能保険に加入して、できる限りのリスクヘッジをしておきたいものです。

十分な貯蓄がない方

現状、十分な貯蓄ができていない方も就業不能保険による恩恵を受けられる場合があります。

就業が困難になった場合、公的な保障だけでは心許ないでしょう。
貯蓄があれば、公的な保障とあわせて生活していけますが、そうでないのであれば民間の保険に加入しておいたほうが安心です。

貯蓄額に不安がある方は、一度就業不能保険への加入を検討してみてください。

ローン返済中の方

就業不能保険は、ローン返済中の方のリスクヘッジとしてもおすすめです。

一般的な住宅ローンでは、契約者が死亡した場合、保険金によって残債が支払われます。
一方で、うつ病をはじめとする精神疾患によって就業不能状態に陥った際の、収入減は考慮されないことが普通です。
そうなれば、最悪の場合ローンが払えずに、自宅を手放さなければならなくなるケースも想定されます。

うつ病などによって働けない期間でもローンの支払いが滞らないよう、就業不能保険への加入をはじめ、元気なうちから対策を練っておきたいですね。

うつ病の方が就業不能保険を選ぶ際の注意点

最後に、就業不能保険を選ぶ、あるいは加入する際に頭に入れておきたいポイントを4つ紹介します。

職業や年齢をはじめとした加入条件がある

就業不能保険は、職業や年齢などの加入条件が、ほかの保険と比較して厳しい傾向にあります。
加入条件を満たさない場合は、当然ながら保険への加入が叶いません。
加入への条件が厳しい理由としては、保証会社側のリスクが挙げられます。

たとえば、建設現場の作業員や自衛官などは、就業中の怪我や病気によって就業不能状態に陥るリスクが、ほかの職業・職種と比較して高いと考えられます。
そのため、特定の職業や職種を、要件外としている保険会社も少なくありません。
また、同様に加入者の年齢が高い場合や、年収が低い場合も、加入が認められないケースがあります。

就業不能保険は、加入条件が厳しい傾向にあることを踏まえたうえで、ご自身が加入条件を満たしている商品を探してみましょう。

告知義務がある

就業不能保険には、うつ病が告知義務の対象として定められています。
生保における告知義務とは、加入者が保険会社側に既往歴などを申告する義務のことです。

現在うつ病を患っている場合や、過去にうつ病にかかった経験がある場合は、細大漏らさず保険会社へ申告する必要があります。

多くの場合、現在うつ病である場合は、就業不能保険への加入が認められないか、給付額が減額されます。
だからといって、うつ病にかかっている、あるいは既往歴を隠して加入することは絶対に避けなければなりません。
告知義務を怠ったまま加入して、後々うつ病である事実が発覚した場合は、保障の対象から外されるだけでなく、ペナルティを課せられるおそれもあります。

就業不能保険への加入を検討する際は、保険会社の契約書によく目を通したうえで、告知義務に該当する疾患の既往歴を包み隠さず申告しましょう。

免責期間がある

就業不能保険には、免責期間が設けられている点にも注意が必要です。

同保険における免責期間とは、被保険者が就業不能な状態に陥った場合であっても、保険会社側に保険金の支払い義務が生じない期間です。

免責期間は、一般的な商品で30日間、ほかにも60日間、180日間などの場合もあります。
たとえば免責期間が30日間の商品を選んだ場合、うつ病を発症して就業不能になった日から30日間は保険金の給付を受けられません。
この免責期間が長くなるほど、月々の保険料は安くなる傾向にあります。
仮に就業不能になった場合に、どれくらいの期間であれば、給付を受けなくても生活できるのかをシミュレーションしたうえで、保険料とのバランスを見ながら選ぶとよいでしょう。

なお、就業不能保険には、免責期間とは別に、「支払い削減期間」もあるため、両者の違いを把握しておきたいところです。

支払い削減期間とは

支払い削減期間とは、支払われる保険金が減額される期間です。
保険会社や商品によって、支払い削減期間は異なるものの、一般的にはこの期間が長いほど、月々の保険料を安く抑えることが可能になります。

免責期間と同様、家計と保険料とのバランスを鑑みながら、適した商品を選びましょう。

就業不能保険でうつ病への備えを講じられる場合がある

今回は、うつ病をはじめとした精神疾患によって働けなくなった場合への備えを講じられる、就業不能保険を中心に解説しました。

精神疾患を保障対象とする就業不能保険に加入すれば、うつ病を発症して就業が困難となり、収入が断たれた場合でも、毎月一定額の保障を受け取れ、これを生活費に充てられます。
また、就業が困難になってしまった場合は、就業不能保険への加入と同時に、公的保障制度をあわせて利用すると、保障をより手厚くすることが可能です。

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この記事を書いた人

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