生命保険の死亡保険金受け取る際に税金はいくらかかる?
2024.12.27

生命保険で受け取れる死亡保険金に対して、税金がかかることをご存じの方は多いでしょう。
しかし適用される税金は、生命保険の契約形態によってその種類は異なり、課税総額も一律ではありません。
本記事では、生命保険の契約形態によって課される税金の種類や、その計算方法をパターン別に詳しく解説します。
生命保険と税金の関係を理解することで、将来的に損しないための知識をこの記事で深めていきましょう。
目次
死亡保険は受取人によって課される税金が異なる
生命保険は、契約者と被保険者、受取人が誰であるかによって、所得税・相続税・贈与税のいずれかが課税されます。
表にまとめると、課税関係は以下のようになります。
契約形態の違いによる税金の種類
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金 |
①夫 | 夫 | 法定相続人 | 相続税(非課税枠適用) |
②夫 | 夫 | 法定相続人以外 | 相続税(非課税枠適用外) |
③夫 | 妻 | 夫 | 所得税(一時所得) |
④夫 | 妻 | 子ども | 贈与税 |
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
①契約者と被保険者が同じ場合
生命保険の契約者(保険料を納めている人)と被保険者(保険をかけられている人)が同一人物で、受取人が異なる場合は、相続税がかかります。
なお、法定相続人が死亡保険金を受け取るのであれば、非課税枠が適用とされます。
非課税となる金額は“500万円×法廷相続人の数”が上限なので、法定相続人が妻と子どもの2人であれば、受け取る保険金の1,000万円まで相続税はかかりません。
死亡保険金を一括ではなく、年金として受け取る場合は、年金受給権の評価額が相続税の対象となります。
受取人が法定相続人である場合、年金受給権の評価額にも先ほど同様、500万円×法定相続人の数の非課税枠が適用されます。
年金受給権の評価方法は、以下の通りです。
【年金受給権の評価方法】
- 解約返戻金の額
- 年金に変えて一時金を受け取る場合は、その一時金の額
- 予定利率などをもとにして計算された額
上記の評価方法のうち、もっとも多い金額が課税対象となり、年金を受け取ってから、2年目に雑所得として所得税と住民税も課されます。
②受取人が法定相続人以外の場合
死亡保険金の受取人が法定相続人ではない場合、非課税枠は適用されません。
つまり、受け取った金額のすべてが相続税の対象になるということです。
また、故人の一親等および配偶者以外の方(兄弟や姉妹、孫など)が死亡保険金を受け取ると、相続税が2割加算されます。
なお、生命保険の契約時に受取人として指定できるのは二親等以内の血族ですが、内縁関係であることを証明できれば、受取人として指定できる保険会社もあります。
③契約者と受取人が同じ場合
契約者と受取人が同じ場合に受け取る死亡保険金は、一時所得に分類されるため、所得税の対象となります。
所得税として課されるのは、受け取った保険金の額からこれまで払い込んだ保険料と特別控除50万円を引いて、さらにその金額を1/2にした金額に対してです。
なお、契約者と受取人が同じでも、保険金を年金として受け取るのであれば、雑所得とみなされます。
④契約者・被保険者・受取人がそれぞれ異なる場合
保険料を支払う契約者が夫、被保険者が妻、受取人が子どもといったケースのように、契約者・被保険者・受取人がすべて異なる場合は、贈与税の対象です。
贈与税は、1年間に譲り受けた財産の合計額から、基礎控除110万円を引いた金額に税率をかけて計算します。
ただし、先述した所得税のように、これまで支払った保険料を差し引くことはできません。
親から子へ財産が受け継がれるのは、直系尊属からの贈与とみなされるので、適用されるのは特例税率です。
特例税率では、課税価格が200万円以下であれば最低税率の10%で済みますが、課税価格が4,500万円を超えると最高税率の55%が課されます。
贈与税は相続税に比べて、税負担が大きくなるような仕組みになっているというわけです。
死亡保険金にかかる税金のシミュレーション
死亡保険金にかかる税金を、いくつかのパターンに分けてシミュレーションしてみましょう。
シミュレーションの条件は、以下のように設定します。
【シミュレーションの条件】
- 死亡保険金:2,000万円
- 支払った保険料:800万円
- 相続財産:3,000万円(死亡保険金の2,000万円は含まない)
- 家族構成:夫、妻、子ども1人
- 夫の課税所得:300万円(所得税率10%)
パターン①相続税がかかるケース(非課税枠の適用あり)
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金 |
夫 | 夫 | 妻(法定相続人) | 相続税(非課税枠適用) |
相続税がかかる今回のケースでは、死亡保険金の受け取りは法定相続人である妻となるため、死亡保険金の非課税枠が適用されます。
法定相続人の数は妻と子どもの計2人なので、非課税枠は1,000万円(500万円×2)です。
ここで重要な点は、相続税には相続財産から一定額を差し引ける“基礎控除”があるということです。
基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人数)で算出できるので、4,200万円となります。
相続財産は3,000万円で、基礎控除額4,200万円に収まるので、この場合の相続税は0円です。
パターン②相続税がかかるケース(非課税枠の適用なし)
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金 |
夫 | 夫 | 夫の妹(法定相続人以外) | 相続税(非課税枠適用) |
受取人である夫の妹は法定相続人ではないため、死亡保険金2,000万円はすべて相続税の対象になり、非課税枠は適用されません。
相続税の課税価格は、相続財産の3,000万円と、死亡保険金2,000万円の計5,000万円となり、基礎控除4,200万円を引いた、800万円に課税されることになります。
3,000万円(相続財産)+2,000万円(死亡保険金)=5,000万円
5,000万円-4,200万円(基礎控除)=800万円(課税遺産総額)
この課税遺産総額800万円をもとに、以下の手順で相続税額を導き出します。
課税遺産総額から相続税を導き出す手順
- 課税遺産総額を法定相続ぶんで按分(あんぶん)して、相続税の総額を出す
- 相続税の総額を実際の取得割合で按分して、各々の相続税の額を出す
まず800万円を妻と子どもで按分すると、一人あたり400万円となり、そこに10%の相続税率をかけるので、相続税の総額は2人合わせて80万円です。
400万円×0.1×2人=80万円
遺産総額5,000万円のうち、妻と子どもは1,500万円ずつ取得するので、3/10である24万円の相続税が妻と子どもにかかります。(80万円×0.3)
ここでは、妻だけが配偶者控除の適用となるので、実際に納める相続税額は0円となり、子どもだけが24万円の相続税を支払うことになります。
次に、死亡保険金の2,000万円をすべて取得した夫の妹が支払う相続税を、計算してみましょう。
5,000万円の遺産総額のうち、2,000万円、つまり2/5を支払うことになるので、32万円が相続税になります。(80万円×0.4)
しかし、夫の妹は法定相続人ではないので、32万円に2割加算が適用された38万4,000円の相続税を納めます。
参照元:国税庁「No.4152 相続税の計算」
パターン③所得税(一時所得)がかかるケース
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金 |
夫 | 妻 | 夫 | 所得税(一時所得) |
契約者と受取人が同じ場合は、所得税の対象です。
このケースでは、夫が受け取った2,000万円の死亡保険金は一時所得となります。
この2,000万円から、これまで支払った保険料の800万円と特別控除50万円を引き、さらに1/2にした金額の575万円が一時所得として課税されます。
{2,000万円-800万円(払込保険料総額)-50万円(特別控除)}×1/2=575万円
夫の課税所得300万円に575万円を加えると、課税所得の合計は875万円です。
ここで国税庁のホームページに明記されている所得税の速算表をもとに、税率23%、控除額63万6,000円を引いて、復興特別所得税の2.1%(令和19年度まで)を加算します。
このように計算すれば、およそ140万5,407円が最終的な所得税額となります。
300万円+575万円=875万円(課税一時所得金額)
(875万円×23%-63万6000円)×1.021%(復興特別所得税)≠140万5,407円
参照元:国税庁「No.2260 所得税の税率」
パターン④贈与税がかかるケース
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金 |
夫 | 妻 | 子ども | 贈与税 |
契約者、被保険者、受取人がすべて異なる場合の贈与税に関しては、死亡保険金の2,000万円から差し引けるのは、基礎控除110万円のみです。
つまり、1,890万円に課税されるというわけです。
国税庁が明記している贈与税の速算表によると、税率は50%、控除額は250万円なので、695万円が贈与税額となります。
2,000万円-110万円(基礎控除)=1,890万円(課税価格)
1,890万円×50%-250万円=695万円(贈与税額)
このように贈与税は、相続税とは比べ物にならないほど高額であることがわかります。
参照元:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」
解約返戻金を受け取る場合の税金
生命保険の途中解約による返戻金は契約者が受け取るのが原則ですが、このとき契約者が保険料を支払っていれば一時所得とみなされ、所得税の対象となります。
しかし、契約者と保険料の負担者が異なる場合、解約返戻金が保険料負担者から契約者への贈与とみなされ、贈与税が適用されます。
なお、受け取る解約返戻金がこれまで払った保険料よりも少なければ所得税はかかりません。
反対に贈与税とみなされると、これまで払った保険料の額は関係なく、解約返戻金から基礎控除110万円が差し引かれた金額に課税されます。
保険金の受け取り時に確定申告が必要になる例
生命保険の保険金を受け取ると、確定申告が必要になることがあります。
受け取った保険金が非課税であれば不要ですが、所得税や贈与税の対象となる場合は一時所得、または雑所得として申告します。
会社員や公務員は勤務先で年末調整を行いますが、このとき所得が2,000万円を超える場合は、別途確定申告が必要です。
また、給与収入が2,000万円以下でも、副業で20万円以上の収入がある場合は同様に申告しなければなりません。
所得税の確定申告は、保険金を受け取った年の翌年2月中旬から3月中旬に行うよう定められています。
一方の贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間で、保険金を含む贈与を受けた財産の合計から基礎控除である110万円を引いた金額について、確定申告を行います。
贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までが申告期間と決まっているので、忘れずに行いましょう。
生命保険の死亡保険金は、受取人が誰かによって税金の種類と税額が異なる
本記事では、生命保険の受取人ごとに課される税金の種類と税額の計算方法を解説しました。
契約者と被保険者が同じ場合、受取人が法定相続人であれば非課税枠の相続税が課され、受取人が法定相続人でなければ、受け取った金額のすべてが相続税の対象になります。
契約者と被保険者、受取人がすべて異なると、贈与税の対象となり、課税価格が高額であるほど高い税率が課される仕組みとなっています。
生命保険は、契約中であっても受取人を変更できるので、契約形態を今一度考えてみてもよいでしょう。
ほけんスマイルでは、生命保険の新規加入のみならず、保険の見直しも承っておりますので、お気軽にご来店ください。
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