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確定申告で生命保険料控除を受けるにはどうしたらいい?

2024.12.27

1年間に払い込んだ生命保険料の金額に応じて、納税の負担を軽減できる制度があることは、ご存じでしょうか。
これは生命保険料控除とよばれるもので、確定申告や年末調整で手続きできます。

今回は、そんな生命保険料控除の概要とともに、確定申告する際の方法をお伝えします。
確定申告をスムーズに進めるために、ぜひご一読ください。

生命保険料控除とはどういうものか

生命保険料控除は、支払った保険料の額に応じて、所得税や住民税の控除を受けられる制度です。
ご自身や家族を守るために民間保険に加入し、保険料を支払っている納税者に対して、税金の負担を軽減させることを目的としています。

生命保険料控除には、2012年1月1日以降に締結した保険契約を対象とする“新制度”と、2011年12月31日以前に締結した保険契約を対象とする“旧制度”の2つがあります。
この2つの違いについては後述しますので、そちらをご覧ください。

生命保険料控除を受けるには?

以下では、実際に生命保険料控除を受けるために必要な手続きについてお伝えします。

所得控除を受けたい場合は確定申告、もしくは年末調整で申告します。
事業を営んでいる場合は確定申告、会社に勤めている場合は年末調整で申告するのが基本です。

確定申告の場合

ご自身で事業を営んでいる方は年末調整を実施できないため、確定申告する必要があります。
生命保険料控除を受けるときは、確定申告の際、書類に必要事項を記入します。
その大まかな流れは、以下の通りです。

【確定申告で生命保険料控除を受けるときの流れ】

  1. 保険会社から郵送、もしくは電子式で生命保険料控除証明書を受け取る
  2. 証明書をもとに、確定申告書にある生命保険料控除の欄を埋める
  3. 証明書を確定申告書に添付する

これらのステップを踏み、通常の手順通り管轄の税務署に提出しましょう。

なお、お手持ちのスマートフォンとご自身のマイナンバーカードで確定申告を受けられる、“e-TAX”を利用する場合は、生命保険料控除証明書を添付する必要はありません。
e-TAXを利用するときは「確定申告が終わったから」と証明書をすぐに捨てずに、5年間保存しておいてください。

また確定申告書には、ご自身で算出した控除額の記載が不可欠です。
誤った控除額を算出しないよう、あらかじめ計算式を確認しておくと安心です。
なお、詳しい計算方法は、記事の後半部分で解説しています。

年末調整の場合

会社に勤めている場合は、12月に実施される年末調整で控除額を申告しましょう。

まずは、勤務先から配布される“保険料控除申告書”にある生命保険控除の欄を埋めていきます。
記載する内容としては、制度の新旧の区分や保険料の種類、1年間に払い込んだ保険料の金額などです。
これらは、保険会社から発行される生命保険料控除証明書の内容をもとに記載してください。

書き終わったら、保険料控除申告書と証明書を勤務先に提出して終了です。

なお、会社員でも年収が2,000万円を超える方や、2か所以上から給与を受け取っている方は年末調整の対象ではありません。
こうした条件に当てはまる方は、ご自身で確定申告を行うこととなります。

生命保険料控除の2つの制度の違い

ここからは、制度ごとにどのような違いがあるのかを見ていきます。

対象となる保険料の種類

まず違いとして挙げられるのが、控除を受けられる保険料の種類です。

生命保険料控除の対象となる保険料には、3つの種類があります。
死亡保険や生存保険で支払う一般生命保険料と、老後の資金を準備する目的で払い込む個人年金保険料、介護や病気などに備えるための介護医療保険料です。

これらは、新制度と旧制度で分け方が異なります。

新制度の場合は、3つすべての保険料が対象です。
しかし旧制度の場合、対象となるのは一般生命保険料と個人年金保険料の2つのみです。

「介護や病気のリスクに備えて支払っている保険料は、対象にならないの?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。
旧制度では、介護保険や医療保険で支払った保険料は、一般生命保険料に含まれます。

このように新たに介護医療保険料の区分ができたのは、2つの制度の大きな違いです。

控除額の上限

新制度と旧制度には、控除額の上限にも違いがあります。

新制度では保険の種類に限らず、それぞれ4万円が控除額の上限です。
3つの保険料を合わせて、最大12万円まで控除できることとなりました。

一方で旧制度では、いずれも5万円が上限となっています。
合計で10万円が上限となることから、限度額が異なることがおわかりいただけるでしょう。

また新しい制度ができてからは、住民税の控除額の上限にも変更がありました。
保険の種類を問わず、新制度では2万8,000円、旧制度では3万5,000円が限度額となります。

こうした上限の違いは確定申告や年末調整の際にも重要となりますから、きちんと押さえておきたいところです。

生命保険料控除証明書で見るべき項目

控除額を申告する際には、保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書を参照して、書類に必要事項を記入します。
証明書には保険の種類や期間など、さまざまな項目が記載されているため、「どこを見て記入すればいいの?」と悩むかもしれません。

ここからは、生命保険料控除証明書で見るべき3つの項目をお伝えします。

①適用される制度

まず、忘れてはならないのが“適用制度”と書かれた欄です。

証明書の適用制度の欄には、ご自身が契約を結んでいる保険が新制度と旧制度のどちらに該当するかが記載されています。
適用される制度が、新しいのか古いのかによって所得税の控除額も変わってきますから、誤った金額を算出しないためにも必ず確認しましょう。

②保険料の種類

控除の対象となる3つの保険料のうち、当てはまる種類が何かもきちんと押さえておかなければなりません。

記載されている欄はそれぞれ異なりますが、文字が詰まっていて見間違えるおそれもあるため、ご自身でも該当する保険料の種類を把握しておくのがベターです。
最近では、ひと目で内容がわかるよう保険料の種類ごとに、色分けされている証明書もあります。

③申告する保険料の金額

証明書には保険の種類ごとに、相当額や証明額などの金額がいくつか記載されていますが、見るべき箇所は決まっています。
それは、証明書の下部に記載のある申告額です。

申告額は1月から12月までのあいだに保険料を支払った場合、その金額がいくらになるのかを示したものです。
控除額を申告する際には、この金額を記入します。

ただし申告額の記載がなく、証明額のみ印字されている場合もあります。
こうしたケースでは証明額を記入すると覚えておきましょう。

生命保険料控除で差し引かれる金額の求め方

生命保険料控除では、払い込んだ保険料が丸ごと差し引かれるわけではありません。
先ほどお伝えしたように、控除額には上限が定められています。

また生命保険料控除を受けるときは、ご自身で控除額を算出する必要がありますから、控除額の求め方はきちんと把握しておきたいところです。

差し引かれる金額を算出するには、払い込んだ金額ごとに所定の式に当てはめて計算します。
計算式は適用される制度によって異なりますが、いずれも対象となる保険料による違いはありませんので、ご留意ください。

新制度の場合

まずは、新制度の生命保険料控除で差し引かれる金額の求め方を確認していきます。

【新制度】控除される金額を求める方法

1年間に支払った保険料等の金額 所得税の控除額
2万円以下 払い込んだ保険料等の全額
2万円超え、4万円以下 支払った保険料の1/2に1万円をプラスした金額
4万円超え、8万円以下 支払った保険料の1/4に2万円をプラスした金額
8万円超え 一律4万円

1年間に払い込んだ保険料が2万円以下、あるいは8万円を超える場合は、控除額が決められているため、特別に計算する必要はありません。
それ以外のケースでは、上記に挙げた方法で金額を求めます。

たとえば年間6万円の保険料を支払っていると仮定して、所得税がどの程度控除されるのかを算出してみましょう。
この場合は4万円超え、8万円以下に該当しますので、支払った保険料の1/4に2万円を足して金額を算出します。
そうすると、控除額は6万円×1/4+2万円=3万5,000円です。

また、生命保険料控除の対象となる保険に複数加入している場合は、払い込んでいる保険料を足して計算できます。
死亡保険と医療保険に加入しており、それぞれ1年間に3万円の保険料を支払っているときは、合計6万円として控除額を計算するといった具合です。

参照元:国税庁『No.1140 生命保険料控除

旧制度の場合

続いて、旧制度のケースを見ていきましょう。
旧制度では、1年間に支払った保険料の金額が新制度と異なるがゆえ、控除額を求める式にも違いがあります。

【旧制度】控除される金額の計算方法

1年間に支払った保険料等の金額 所得税の控除額
2万5,000円以下 払い込んだ保険料等の全額
2万5,000円超え、5万円以下 支払った保険料の1/2に1万2,500円をプラスした金額
5万円超え、10万円以下 支払った保険料の1/4に2万5,000円をプラスした金額
10万円超え 一律5万円

こちらも1年間に払い込んだ保険料が一定の金額以下、もしくは一定の金額を超える場合は、控除額を計算しなくても問題ありません。

繰り返しにはなりますが、旧制度では“一般生命保険料”と“個人年金保険料”の2つのみが対象です。
介護や病気などのリスクに備えるための保険料は、一般生命保険料に該当しますので、お間違えのないようご注意ください。

参照元:国税庁『No.1140 生命保険料控除

確定申告書にある生命保険料控除の欄の書き方

生命保険料控除証明書で見るべき項目や控除額の求め方がわかったところで、次に確定申告で提出する書類に、どのように記載していけばよいのかを確認しましょう。

確定申告書の第一表と第二表では、生命保険料控除に関して記入する内容が異なります。
証明書を見てすぐに記入できるため、確定申告書は第二表から埋めていくと効率的です。

第二表にある生命保険料控除の欄には、申告額を記入します。
適用制度や保険料の種類ごとに枠が設けられていますので、該当する箇所かどうかを確認のうえ、記入してください。

第二表を書き終わったら、第一表に移ります。
第一表にある生命保険料控除の欄に書くのは、ご自身で算出した控除額の合計です。
たとえば新制度が適用され、控除の対象となる3つの保険料がある場合は、一つずつ控除額を算出したうえで、それらを合算した金額を記入するといった具合です。

ただし、合算した金額が新制度で定められている控除額の上限を超えるときは、それがいくらかにかかわらず“12万円”と書いてください。
旧制度の場合も同様に、上限である10万円を超えるときは、生命保険料控除の欄に“10万円”と書きます。

生命保険料控除の手続きを確定申告で行う際の注意点

「必要な項目を埋めて、確定申告書を提出するだけ」と思われるかもしれませんが、確定申告で生命保険料控除を受けるときには注意したい点があります。

【確定申告で生命保険料控除を受ける際の注意点】

  • 納税者本人が申告する
  • 控除額の上限を把握する
  • 生命保険料控除証明書も一緒に提出する

上記のなかでも、生命保険料控除証明書の提出に関しては、特に気をつけたいところです。
確定申告書に添付して提出する必要がありますが、書類を書き終えると「やっとできた!」と安心して忘れてしまうかもしれません。
証明書を提出しないと生命保険料控除を受けることができませんので、忘れずに添付してください。

しかし手元に届いていたにもかかわらず、確定申告の前に生命保険料控除証明書を紛失してしまう可能性もあります。
その場合は速やかに保険会社に連絡し、証明書を再発行してもらいましょう。

確定申告で生命保険料控除を受けるときは、必要事項の記入や書類の提出を忘れずに!

今回は、生命保険料控除の概要や確定申告する際の方法をお伝えしました。

納税者が特定の保険料を支払った場合に、所得税や住民税が控除される制度が生命保険料控除です。
これを受けるためには確定申告、あるいは年末調整での手続きが必要です。

確定申告で控除額を申告するときには、確定申告書にある必要項目を埋めるほか、証明書を必ず添付しましょう。

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この記事を書いた人

ほけんスマイルWeb編集部

ほけんスマイルWeb編集部

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