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生命保険料控除とは?年末調整時の申請手順や計算方法を解説

2024.12.27

所定の生命保険に加入している方は、年末調整時に申請することで、生命保険料控除を受けることができます。
生命保険料控除を活用すると、対象となる会社員や公務員の方は、税の負担が軽くなるので、申請しない手はありません。

本記事では、生命保険料控除の対象となる保険の種類から、年末調整時の申請手順、控除額の計算方法まで徹底解説します。
簡単な申請によって節税が見込めるので、ぜひこの記事をお役立てください。

生命保険料控除とは

生命保険料控除とは、納税者が任意で加入する生命保険や介護医療保険、個人年金保険の保険料を支払った際に受けられる所得控除のことです。
毎年1月1日から12月31日までの1年間に支払った保険料に応じて、一定の金額が保険契約者(保険料負担者)の所得から控除されます。

節税できる税金は、所得税と住民税の2つです。

年末調整で保険料控除を申告する理由

そもそも年末調整は、会社員や公務員などの給与所得者が給与や賞与から源泉徴収された税額の年間合計額と、本来徴収すべき年税額を一致させるための手続きです。
毎月の給与から引かれる所得税は概算なので、支払うべき税額になるよう過不足金を計算します。
ここで払い過ぎていると還付され、少ないと追加徴税される仕組みです。

年末調整では、1年間の収入(賞与を含む)から給与所得控除等を引いて給与所得を求めます。
そこから生命保険控除のほか、社会保険料控除や基礎控除などの各種所得控除を差し引いて計算した課税所得金額に対して所得税が課せられます。

つまり、所得控除が大きい方ほど、税負担は軽減されるということです。

なお、所得控除の対象となるのは、生命保険控除のほかに、配偶者控除や扶養控除など全15種類あります。

控除の対象となる生命保険の種類

生命保険料控除には、一般生命保険のほかに介護医療保険、個人年金保険の3つの種類があります。

それぞれ、表で詳しく見ていきましょう。

生命保険料控除の種類と対象の保険商品の一例

保険料控除の種類 保障内容 対象の保険商品
一般生命保険料控除 死亡または生存に起因して保険金が支払われる保険 l 定期保険 l 収入保障保険 l 学資保険 l 終身保険
介護医療保険料控除 疾病や身体の障がいによって給付金が支払われる保険 l 医療保険 l がん保険 l 就業不能保険 l 介護保険
個人年金保険料控除 “個人年金保険料税制適格特約”が付加された個人年金保険 l 個人年金保険

なお、一般生命保険料控除と介護医療保険料控除の対象となるのは、その契約の保険金受取人が契約者(保険料負担者)または配偶者である場合です。
ほかにも、親族(6親等以内の血族と3親等以内の姻族)である場合も対象となります。

旧制度と新制度の違い

生命保険料控除には、実は旧制度と新制度があります。
具体的には、2011年12月31日以前に契約した生命保険には旧制度が適応され、2012年1月1日以降に契約した生命保険には新制度が適用されます。

なお、契約日が2011年以前であっても、2012年以降に更新や特約中途付加によって契約内容が変更された場合は、新制度の生命保険料控除が適用となるので注意しましょう。

旧制度と新制度の変更点は、以下にまとめたのでご覧ください。

①控除の種類

旧制度においての控除の対象は、“一般生命保険料控除”と“個人年金保険料控除”の2種類だけで、介護保険や医療保険は一般生命保険料控除として扱われていました。

旧制度

一般生命保険料控除 個人年金保険料控除
  • 終身保険
  • 定期保険
  • 収入保障保険
  • 学資保険
  • 医療保険
  • がん保険
  • 介護保険など
個人年金保険(税制適格特約あり)

新制度

一般生命保険料控除 介護医療保険料控除 個人年金保険料控除
  • 終身保険
  • 定期保険
  • 収入保障保険
  • 学資保険など
  • 医療保険
  • がん保険
  • 介護保険など
  • 個人年金保険(税制適格特約あり)

新制度になってからは、新たに“介護医療保険料控除”が設定され、医療保険や介護保険は一般生命保険とは区別されています。

②控除額の上限

旧制度と新制度では、所得税の控除限度額も異なります。

控除限度額の変更点

控除の種類 対象の税金 旧制度 新制度
一般生命保険料控除 所得税 5万円 4万円
住民税 3万5,000円 2万8,000円
介護保険料控除 所得税 4万円
住民税 2万8,000円
個人年金保険料控除 所得税 5万円 4万円
住民税 3万5,000円 2万8,000円
合計適用限度額 所得税 10万円 12万円
住民税 7万円 7万円

旧制度では、所得税の控除限度額が10万円だったのに対し、新制度では12万円に増額されています。
新制度では所得税控除額の上限は4万円なので、新制度の一般生命保険料控除と個人年金保険料は旧制度の5万円よりも控除限度額が1万円ずつ減少しています。

しかし、介護医療保険料控除が新設されたことによって、合計の適用限度額は、10万円から12万円と、2万円の増額になりました。

年末調整の際に生命保険料控除を申告する手順

生命保険料控除は、自動的に適用されるわけではないため、年末調整の際に自身で申告する必要があります。

生命保険料控除の申告は決して難しいものではないので、所得税の還付を受けるためにも、手順を確認していきましょう。

【生命保険料控除を申告する手順】

  1. 給与所得者の“保険料控除申告書”に必要事項を記入する
  2. “保険料控除証明書”を添付する
  3. 給与支払者である会社に提出する

まずは、会社から配布された給与所得者の保険料控除申告書に、加入している保険の必要事項を記入し、保険会社から送付される保険料控除証明書を添付します。
これを提出期限までに会社へ提出すれば、申告は完了です。

年末調整で生命保険料控除の申告を忘れてしまった場合でも、自身で確定申告をすれば、払い過ぎた所得税と住民税が還付されるので安心してください。
還付の確定申告は、5年以内であればさかのぼることができるので、気づいた時点で早めに還付申告を行いましょう。

なお、保険料が毎月の給与から天引きされている方は、申告する必要はありません。

保険料控除証明書を紛失してしまったら?

まず、保険会社から10月ごろに郵送されてくる保険料控除証明書は、うっかり紛失してしまないよう保管しておいてください。

万が一、保険料控除証明書を紛失した場合は、保険会社や各機関の専用ページから控除証明書の電子データがダウンロードできるかどうか確認します。

電子データのダウンロードに対応していない場合は、保険会社に連絡して再発行してもらいましょう。
手続きから、およそ10日前後で手元に届きます。

紛失した場合に備えて、各保険会社のホームページなどで控除証明書の再発行の方法を、あらかじめ確認しておくのもよいでしょう。

年末調整で生命保険料控除を受ける際の注意点

年末調整で生命保険料控除を受けるためには、いくつか注意しなければならない点があります。
以下にまとめたので、ご確認ください。

注意点①控除対象にならない保険もある

生命保険料控除の適用を受けるためには、加入している保険が控除の対象であるか今一度確認してください。

生命保険料控除の対象かどうかは、保険の名称ではなく、その保障内容によって判断されます。
たとえば、介護保険や医療保険といった名称の保険でも、保険の契約が5年未満の貯蓄保険や貯蓄共済は控除の対象外です。
また、外国の生命保険会社や損害保険会社など、日本国外で契約した保険も対象外となるため、不明点は契約している保険会社に確認するとよいでしょう。

注意点②副業収入が20万円以上または給与収入が2,000万円以上ある

会社員は、勤務先の年末調整によって源泉徴収された金額を精算するため、確定申告を行う必要はありませんが、以下に該当する場合は、自身で確定申告しなければなりません。

【確定申告が必要なケースの一例】

  • 副業の年間所得が20万円以上ある場合
  • 1年間の給与収入が2,000万円を超える場合
  • 2か所以上の勤務先から給与を得ている場合

これらの申告を怠ると、生命保険料控除を受ける以前に無申告加算税や重加算税などのペナルティを受ける可能性があるため、必ず申告しましょう。

注意点③転職した場合の年末調整

年末調整は、1月1日から12月31日までの1年間の所得を確定させる手続きなので、年末調整の時期に所属している勤務先で行うのが原則です。

たとえば、年末調整時期よりも前に転職した場合は、前職で配布された給与所得の源泉徴収票を、年末調整書類とともに新しい勤務先に提出しなければなりません。
また退職後、再就職までにブランクがあり、自身で国民健康保険や国民年金に加入した場合は、新しい勤務先での年末調整の際に、社会保険料控除の申告が必要です。

年末調整の時期に、就職していない場合は、自身で確定申告を行うことになります。
確定申告は、翌年2月中旬から3月中旬の1か月間のあいだに行わなければならないので、忘れずに行いましょう。

注意点④共働きの場合の申告者

共働き夫婦の場合、控除を受けられるのは保険料負担者、つまり保険料を支払っている方です。
したがって、妻が被保険者でも契約者が夫の場合、夫が生命保険料控除の対象となります。
妻や子どもの保険料を夫が支払っている場合は、まとめて申告できるということです。

注意点⑤個人年金保険料税制適格特約の付帯の有無

個人年金保険の保険料は、個人年金保険料税制適格特約を付帯していないと、控除の対象にはなりません。
そのほかにも控除を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。

【個人年金保険料控除の条件】

  • 年金の受取人が本人または配偶者である
  • 年金の受取人が被保険者と同一人物である
  • 保険料の払込期間が10年以上である
  • 確定年金や有期年金の場合、年金の受取開始が60歳以降かつ受取期間が10年以上である

個人年金保険の特約なので、契約している方が個人年金保険を解約すると、特約も同時に消滅し、控除の対象外となります。

生命保険料控除を受ける際の住民税

生命保険料控除は、所得税のほかに住民税にも適用されます。
ただし、住民税は前年度の所得に対して課税されるものであるため、申告することによって翌年の税金が軽減される、つまり還付金ではないということを覚えておきましょう。

生命保険料控除による住民税の控除額は、年間で支払った保険料の額によって異なります。
詳しい控除額の計算方法は、次項で解説します。

生命保険料控除で戻ってくる控除額の計算方法

ここからは、生命保険料控除によって控除される金額の計算方法を詳しく解説します。
所得税と住民税に分けて記載していますので、ご自身のケースにあてはめて、計算してみてください。

旧制度の控除額計算方法

加入している保険が旧制度に該当する場合は、以下の計算式にあてはめて控除額を計算します。

【所得税】

年間払込保険料 控除額の計算方法
2万5,000円以下 払込保険料の全額
2万5,000円超~5万円以下 払込保険料×1/2+1万2,500円
5万円超~10万円以下 払込保険料×1/4+2万5,000円
10万円超 一律5万円

【住民税】

旧制度では、一般生命保険料と個人年金保険料それぞれに適用され、所得税では10万円、住民税では7万円が限度となります。

新制度の控除額計算方法

保険契約が新制度に該当する場合、控除額の計算方法は以

年間払込保険料 控除額の計算方法
1万5,000円以下 払込保険料の全額
1万5,000円超~4万円以下 払込保険料×1/2+7,500円
4万円超~7万円以下 払込保険料×1/4+1万7,500円
7万円超 一律3万5,000円

下の通りです。

【所得税】

年間払込保険料 控除額の計算方法
2万円以下 払込保険料の全額
2万円超~4万円以下 払込保険料×1/2+1万円
4万円超~8万円以下 払込保険料×1/4+2万円
8万円超 一律4万円

【住民税】

年間払込保険料 控除額の計算方法
1万2,000円以下 払込保険料の全額
1万2,000円超~3万2,000円以下 払込保険料×1/2+6,000円
3万2,000円超~5万6,000円以下 払込保険料×1/4+1万4,000円
5万6,000円超 一律2万8,000円

年間で払った保険料が8万円を超える場合、所得税において一律4万円が控除されます。
対象である一般生命保険・介護医療保険・個人年金保険の3つを合計すると、最大で12万円が控除額となるわけです。

旧制度・新制度両方の生命保険を契約している場合の計算方法

旧制度と新制度の両方の生命保険に加入している場合、旧制度と新制度を分けて計算した控除額を合算して、最終的な控除額を求めます。

ただし、控除適用額の上限は、所得税が12万円、住民税が7万円と決まっているので、上限を超えた部分については控除することはできません。

たとえば、一般生命保険・介護医療保険・個人年金保険の保険料をそれぞれ年間12万円支払っているケースで計算してみましょう。
ここでは、一般生命保険と個人年金保険を旧制度、介護医療保険を新制度として計算します。
旧制度は、年間で支払った保険料が10万円を超えると控除額が一律5万円となり、新制度では年間で支払った保険料が8万円を超えると、控除額は一律4万円になります。
控除額は、一般生命保険と個人年金保険の合計で10万円、介護保険が4万円となるので、合計の控除額は14万円です。
しかし、所得税の控除額の上限は12万円と定められているので、上限を超えたぶんは控除されず、この場合の控除額は12万円となります。

生命保険料控除を確定申告する場合

自営業者の場合、生命保険料控除は確定申告によって行います。
確定申告書の“生命保険料控除”の欄に必要事項を記入し、支払金額や控除が受けられることを証明する書類などを追加で添付します。

なお、インターネットで手続き可能なe-Taxで確定申告を行う場合は、控除証明書を添付しなくても構いません。
しかし、証明書は5年間保存する義務があるため、大切に保管してください。

e-Taxにより確定申告書類を作成する際は、国税庁のホームページを参考にするとよいでしょう。

国税庁「確定申告書等作成コーナー

年末調整で生命保険料控除を申告すれば、税の負担が軽減する!

本記事では、年末調整時に生命保険料控除を受けるための手順や、控除額の計算方法を解説しました。

生命保険や介護医療保険などに加入している方は、生命保険料控除を年末調整の際に申告すれば、税の負担が軽くなります。
生命保険料控除は自動で適用されるわけではないので、保険料控除申告書に必要事項を記入し、保険料控除証明書を添付したうえで、勤務先に提出しましょう。

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