保険代理店とは?主な業務内容やメリット・デメリットを解説
2024.10.29
保険に加入する方法の一つとして、保険代理店の利用が挙げられます。
街中で見かけることもある身近な存在ですが、業務内容や保険会社との違いまで説明できる方はそれほど多くないのではないでしょうか。
そこで本記事では、保険代理店の業務内容を、利用するメリット・デメリットとともにお伝えします。
「合理的に保険を契約したい」とお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
それぞれの特徴を詳しくお伝えします。
目次
保険代理店とは
保険会社から依頼を受け、保険契約の締結の代理や媒介を長期的に担う事業者を“保険代理店”といいます。 つまり、保険代理店の主な役割は、保険加入希望者と保険会社のあいだを取りもつことです。 保険代理店では、契約している保険会社によって生命保険や損害保険など、取り扱う保険の種類が異なります。 なお、保険代理店の利益は、保険商品を販売することで保険会社より支払われる手数料から発生します。 そのため、保険加入希望者に対して、料金を請求することはありません。保険代理店と保険会社の違い
保険代理店と保険会社の違いは、“商品をつくるか否か”ということです。 保険会社が作成した商品を販売するのが保険代理店であるため、保険を果物に例えると、保険会社が農家、保険代理店がスーパーや八百屋にあたります。 保険会社と委託契約して、保険商品の営業からアフターフォローまで実施する保険代理店では、通常複数の保険会社の保険商品を扱っています。 一方で、保険会社の主な業務は、保険商品の開発と営業、販売、アフターフォロー、そして保険金の支払いです。 保険商品を販売する場合は、自社の保険商品のみを取り扱います。 なお、保険会社は、生命保険業免許や損害保険業免許といった免許を取得する必要があります。保険代理店の主な業務
保険代理店は保険商品の販売だけではなく、契約内容の提案から契約後のサポートまで、幅広い業務を実施しています。 ここでは、3つの業務内容を掘り下げて紹介します。相談・アドバイス・提案
保険代理店の中心となる業務は、保険の新規加入や見直しに関して相談を受け、その内容をもとにアドバイスや提案を行うことです。 いくつもの保険商品を比較・検討して、ご自身にぴったりの商品を見つけるには、相当な労力を要します。 そんなときに、保険料や保障内容などの求めていた条件に合致する商品を、専門家の目線で提案するのが保険代理店です。 なお、生命保険の場合は加入すれば終わりではなく、子どもが生まれたときや定年退職したときなど、人生の節目において保障内容を見直すことで、有効活用できます。 加入中の保険に対して、ライフステージの変化に合わせた保障内容を相談できるのも保険代理店の魅力といえます。保険の契約・各種手続き
保険代理店の業務には、保険契約をはじめ、加入後の各種手続きも含まれます。 主な業務内容は、保険の継続や住所変更、生命保険料控除の証明書発行などの依頼を、保険加入者から保険会社に取り次ぐことです。 保険代理店には、生命保険を取り扱う生命保険代理店と、損害保険を扱う損害保険代理店があり、それぞれ権限が異なります。 生命保険代理店の権限は、保険加入希望者と保険会社との仲介になるため、通常保険加入希望者が申し込んだだけでは、契約は成立しません。 契約を成立させるには、該当する保険商品を取り扱っている保険会社の承諾が必要になります。 一方、損害保険代理店は、保険会社の代わりに保険契約を締結する“代理権”をもっている場合があります。 そのため、代理権をもつ損害保険代理店で契約した場合、保険加入希望者が損害保険代理店で申し込み、代理店が承諾した時点で保険契約が成立するわけです。保険金の請求
保険代理店の業務としては、保険金を請求する際のサポートも挙げられます。 保険金の請求には、必要書類が多く、何かと工数がかかります。 複数の保険を契約している場合には、請求漏れが生じることもあるかもしれません。 保険金が必要になった際に保険代理店に連絡すると、必要な手続きや書類を準備してもらえるだけではなく、請求書の記入方法や手続きに関するアドバイスも受けられます。 保険のプロにサポートしてもらえれば、スムーズに保険金を受け取ることが可能です。保険代理店の種類
保険代理店とひと口にいっても、その種類は実にさまざまです。 事業形態や取り扱っている保険会社の数によって、以下のように分類されます。 主な保険代理店の種類保険代理店の種類 | 分類方法 | 特徴 |
専業代理店 | 保険業務に取り組む姿勢 | 保険業務を専門としている |
副業代理店 | 他業界がサービスの一環として保険を取り扱っている | |
乗合代理店 | 締結している保険会社の数 | 複数の保険会社と契約している |
専属代理店 | 1社の保険会社と契約している | |
法人代理店 | 代理店の経営体制 | 法人として保険代理店を営んでいる |
個人代理店 | 個人で保険代理業務を実施している |
専業代理店と副業代理店
はじめにご紹介する保険代理店の種類は、専業代理店と副業代理店です。 双方の違いは、保険代理業務が本業か副業かによる点です。 保険業務を専門とする専業代理店では、生活スタイルや既往歴などをもとに、必要な保障がついている商品を提案してもらえるうえに、保険に関することはなんでも相談できます。 一方、副業代理店では、自動車や旅行といった他業界の専門店が、サービスの一環として保険業務を行っています。 専業代理店と比べると保険商品の種類が少ないものの、車の購入時には自動車保険に、家を購入する際には火災保険に加入できるなど、利便性は抜群です。乗合代理店と専属代理店
委託契約を締結している保険会社の社数によって分類される乗合代理店と専属代理店も、保険代理店の一種です。 複数の保険会社と委託契約を結ぶ乗合代理店では、同じ種類の商品を会社ごとに比較できるという利点があります。 商品を比較することで、保険料や保障などがご自身に合った保険を見つけられます。 生命保険であれば、特に医療保険や定期保険などの種類の多い商品を比較したい方におすすめです。 一方、専属代理店は1社だけを取り扱っているので、その保険会社の商品に対する専門性が高いのが特徴です。 加入したい保険会社や商品が決まっている場合に、利用するとよいでしょう。法人代理店と個人代理店
保険代理店は、法人や個人などの経営体制によっても種類が分かれます。 法人で代理店を営んでいる法人代理店は、規模が大きいため生命保険や損害保険をはじめとする多様な分野を専門の担当者に相談できるのが特徴です。 個人代理店では、一人のファイナンシャル・プランナーが経営しているケースが多い傾向にあります。 ファイナンシャル・プランナーとは、住居や教育、老後といった将来のライフプランニングに即した資金計画やアドバイスを行う専門家のことです。 保険に関する相談以外にも、今後の資金計画について相談したい場合には、個人代理店か、ファイナンシャル・プランナーが在籍する法人代理店を探してみてはいかがでしょうか。保険代理店のメリット
ここからは、保険代理店を利用するメリットをご紹介していきます。メリット①複数の保険会社の商品を比較できる
保険代理店のメリットとしてまず挙げられるのは、複数の保険会社や商品を比較検討できる点です。 乗合代理店のように複数の保険会社や商品を取り扱っている代理店を利用すれば、よりご自身の要望に沿った商品を見つけることができます。 また、同じ保険の種類でも保険料の相場や、保障の違いを見分けることで、合理的に加入する保険を選ぶことが可能です。 近年では、テクノロジーの発達によって保険商品も進化しているため、過去に加入した保険を見直すことで、保障内容を向上させられるケースもあります。 プロの保険アドバイザーである保険代理店に相談することで、保険全般に関する知識を得られ、ご自身に適した保険プランを改めて見つけられるでしょう。メリット②無料でアドバイスが受けられる
アドバイスを無料で受けられる点も、保険代理店のメリットといえます。 ライフステージや家族構成に合わせて保険商品を選ぶのは、知識がないと容易ではありません。 保険代理店を利用すれば、豊富な専門知識を備えた担当者から無料でアドバイスを受けられます。 複数の保険会社の商品を取り扱う保険代理店であればなおさら、同じ保険の種類でも保険料が安かったり、保障内容が充実していたりする商品を紹介してもらえるかもしれません。 また、契約後でも契約内容の確認や各種変更手続き、保険金請求にくわえて、人生の節目に合わせて保障内容の見直しもサポートしてもらえます。メリット③保険手続きの窓口を集約できる
保険手続きの窓口をまとめることができるのも、保険代理店を利用するメリットの一つです。 複数の保険会社で契約する場合でも、同じ保険代理店を通じて加入すれば、その保険代理店のみを窓口とすることが可能です。 手続きのたびに各保険会社に足を運ぶことなく、複数商品の手続きを一か所で済ませられれば、時間や労力をかなり節約できます。保険代理店のデメリット
保険代理店の利用にあたっては、押さえておかなければならないデメリットも存在します。以下で詳しくお伝えします。デメリット①ダイレクト型と比べて保険料が割高になる
保険代理店のデメリットとして挙げられるのは、インターネットを利用して加入する“ダイレクト型保険”よりも保険料が割高になる可能性があるという点です。 通常、保障内容が同じであれば、直接来店して契約する代理店型保険のほうが、人件費や店舗の賃料をはじめとするコストがかかるため、保険料が高くなります。 ただし、保険代理店で取り扱っているダイレクト型保険に加入した場合には、インターネットから契約したときの保険料と同じです。 また、生命保険には一部のインターネット限定の保険商品を除き、代理店型とダイレクト型に区別がありません。 どの契約手段をとっても保険料は変わりませんので、ご安心ください。デメリット②契約までに手間や時間がかかる
契約までに工数がかかるのも、保険代理店のデメリットといえるでしょう。 保険代理店のなかには、取り扱っている保険の種類によって、その場で契約が成立しない場合があります。 たとえば、生命保険代理店の権限は保険加入希望者と保険会社との媒介になるため、基本的に保険加入希望者が保険代理店で申し込みを行っただけでは契約は成立しません。 契約の成立には、生命保険代理店経由の申し込みを取り扱う保険会社の承諾が必要です。 損害保険代理店のように、代理権をもっているなどの例外はありますが、保険会社と直接契約する場合と比べると、契約までに時間がかかる点は念頭に入れておきましょう。デメリット③信頼できる保険代理店を見つける必要がある
担当者の知識量や経験値にムラがあるというのも、保険代理店のデメリットの一つです。 担当者によって、説明の得意不得意や商品を熟知している度合いが異なるため、すべての保険代理店が希望に沿ってくれるわけではありません。 なかには、複数の保険会社を比較して検討できなかったり、契約後のアフターフォローが手薄になったりする代理店もあります。 そのため、取り扱っている保険会社や保険商品にくわえて、担当者の顔写真や資格の有無、得意な分野、口コミなどを入念に調べておくことが肝心です。保険代理店を選ぶ際のポイント
保険代理店のメリット・デメリットを押さえたうえで、どこに相談するかを選ぶ際のポイントをご紹介します。 ポイントを3つに絞ってお伝えしますので、選定時にお役立てください。取り扱っている保険会社や保険商品を確認する
保険代理店を選ぶうえではじめに押さえるべきポイントは、取り扱っている保険会社や、保険商品を来店前に確認しておくことです。 来店した際に、必ずしもご自身の希望する保険会社や保険商品があるとは限りません。 希望している商品がないとわかってから、また別の代理店を探して足を運ぶ手間を省くためにも、あらかじめ把握しておくのが賢明です。 また、取り扱っている保険商品を見れば、どの種類の保険に特化した保険代理店なのかを把握することもできます。 そのため、公式ホームページや問い合わせフォームなどから、相談したい保険商品があるかをチェックしたうえで、来店する店舗を検討しましょう。保険代理店の外部からの評価を確認する
外部からの評価も、保険代理店を選ぶうえでは重要です。 生命保険の保険代理店の場合、一般社団法人 生命保険協会が各店舗の契約時の対応やアフターフォローを評価しています。 一般社団法人 生命保険協会は、基準を満たした代理店を“認定代理店”として公表しており、認定された保険代理店数は、2024年3月時点で83社です。 調査を希望した生命保険の乗合代理店は、以下4つの視点で調査・評価されます。 一般社団法人 生命保険協会の評価基準- 契約時の対応が適切に行われているか
- 契約後のアフターフォローが充実しているか
- お客さまの個人情報の管理ができているか
- 健全な経営・企業活動が行われているか