生命保険と医療保険の違いとは?それぞれの特徴を解説
2024.01.19
日本では、公的医療保険への加入を全国民に義務づけています。
そのうえで、万が一のリスクに備えて任意で加入するのが、生命保険や民間の医療保険ですが、具体的な違いまでは詳しく知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで本記事では、生命保険と民間の医療保険の違いや特徴を詳しく解説します。
これら保険の種類を知りたい方や自分や家族にぴったりの保険を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
生命保険とは?
生命保険は、死亡や入院、治療、教育、老後の生活などに備える保険の総称です。
加入者に万が一のことが起きたときや、病気や怪我をしたときには、保障内容に応じた保険金を受け取れます。
生命保険は「相互扶助」という助け合いの仕組みで成り立っており、大勢がお金を出し合っているからこそ、必要なときに大きな保障を受けることができます。
なお、生命保険は、保険金が給付されるケースに応じて、以下で紹介する3種類に分けられます。
死亡保険
死亡保険は、加入者が死亡、または指定の高度障害になったときに、加入者が契約時に指定した人へ保険金が支払われる保険です。
そのなかでも死亡保険は、大きく「定期保険」と「終身保険」の2つに分けられます。
「定期保険」は保障期間が決められており、約定の期間内に死亡した場合にのみ、保険金を受け取れます。
保険料は安くても、多くは掛け捨て型なので、保険を中途解約した場合や、保障期間内に死亡しなかった場合には払い込んだ保険料は戻りません。
一方で「終身保険」は、保障期間の定めがなく、保障が一生涯続きます。
終身型の死亡保険は、解約しない限り、加入者が死亡すると一生涯にわたり保険金を受け取れる権利があるのが特徴です。
さらに、万が一解約しても、保険料の一部が積み立てられているため、一定の解約返戻金があるのも安心です。
なお、死亡保険は一時金として受け取る方法のほかに、毎月分割で受け取る商品もあるため、残された家族の生活や、子どもの養育費に計画的に充てることもできます。
関連記事:保険の終身・定期とは?それぞれの概要とメリット・デメリット
生存保険
生存保険は、加入者が保険満了期まで生存していることを条件に、満期保険金が支払われる保険です。
もし、加入者が満期日までに死亡した場合でも、一定の死亡保険金を受け取れます。
「個人年金保険」「学資保険」などがその例です。
個人年金保険は、公的年金に上乗せして準備できる私的年金です。
契約時に定めた年齢まで保険料を支払い、支払った保険料に応じた年金が貰えます。
公的年金のような加入義務はありませんが、老後の生活資金の貯蓄を目的に、加入するケースが多いです。
学資保険は、子どもの教育資金の準備を目的とした貯蓄型の保険ですから、進学などのタイミングで、まとまったお金が必要なときに備えて加入する方がほとんどです。
生死混合保険
生死混合保険は、上記で説明した死亡保険と、生存保険を組み合わせたものです。
加入者が、万が一死亡した場合には死亡保険金、無事に満期日まで生存していた場合には満期保険金が支払われ、保険金がどちらも同額であるのが特徴です。
代表的なものには「養老保険」が挙げられます。
個人が老後に備えて加入するのはもちろん、企業が福利厚生や、リスクマネジメントの一環として加入することもあります。
ただし、貯蓄性が高いため、保険料は決して安くはありません。
医療保険とは?
医療保険とは、病気や怪我で治療する際に、医療費の経済的な負担を軽減する制度です。
「公的医療保険」と「民間医療保険」の2種類があります。
日本では、全国民が平等に必要な医療を受けることができる「国民皆保険制度」を採用しているので、全国民に公的医療保険への加入を義務化しています。
運営主体によって、「国民健康保険」「健康保険」「後期高齢者医療制度」の3種類に分かれます。
ここからさらに、企業に勤めている方は「健康保険組合」「協会けんぽ」「共済組合」の3つの保険に分類されます。
これらの公的医療保険によって、私たちの医療費の自己負担は、3割以下に抑えられているのです。
それだけでなく、「高額療養費制度」により、自己負担限度額を超えた分の医療費があとから払い戻される仕組みもあります。
一方で、保険会社が販売する民間の医療保険は、公的医療保険ではカバーしきれない医療費を補うものです。
基本的には、大きな手術、あるいは長期入院が必要になった際の費用の負担を軽くすることが目的です。
これら保障である手術給付金と入院給付金のほかに、「特約」といったオプションを付けることで、さらに保障範囲を広げることも可能です。
加入は任意であり、さまざまな会社の商品を選ぶことができます。
そこでここからは、民間の医療保険にどのような種類があるのかを確認していきましょう。
定期医療保険
定期医療保険とは、一定期間で契約が更新され、決められた期間のみ保障される医療保険です。
決められた期間の保険料を掛け捨てで支払うため、次項で説明する終身医療保険よりも保険料が手ごろなのが特徴です。
また、他社の保険への乗り換えを検討する際に、切り替えが簡単にできることもメリットの一つなので、必要な期間だけ保障したい人にもおすすめです。
しかし、加入者の年齢によって更新時の保険料が上がること、契約を更新しなければ保障が得られなくなる点には注意しましょう。
終身医療保険
終身医療保険は、保障が一生涯続き、保険料が何歳になっても変わらない医療保険です。
しかし、何十年も加入していると、その時代に合った保障内容ではなくなる可能性があります。
また、長期加入だと、保障内容が加入当時のままの方が多く、保険そのものを見直す機会がなくなってしまうケースもあるため、定期的に見直すことが大切です。
貯蓄型医療保険
貯蓄型医療保険とは、万が一のときに備える保障機能と、支払った保険料の一部を積み立てる貯蓄機能を併せ持った医療保険です。
内容が異なる「お祝い金タイプ」「リターンタイプ」「解約返戻金タイプ」の3パターンが用意されています。
「お祝い金タイプ」は、一定の期間が経過するごとに健康であれば、5万~10万円のお祝い金を受け取れる仕組みです。
健康であるからという理由で、定期的にお金を受け取れるのはうれしいポイントですね。
一方、病気や怪我で、手術給付金や入院給付金を受け取った場合には、お祝い金は支給されないことが多いです。
「リターンタイプ」は、一定の年齢まで保険料を払いつづけると、これまで支払っていた保険料が全額戻ってくる仕組みです。
給付金を受け取るタイミングは、55~70歳くらいのあいだに自身で設定できることが多く、保険料の払い込み期間が長いほど、まとまった給付金を受け取れます。
給付金を受け取る年齢の前に、加入者が死亡、または解約をした場合は、死亡給付金や解約返戻金が支払われます。
ただし、保障期間中に手術給付金や入院給付金を受け取った場合は、死亡給付金や解約返戻金は少なくなるので注意しましょう。
リターンタイプの給付金を受け取ったあとは、その後も保険料を払いつづけることで、医療保障をキープできるケースが多いです。
「解約返戻金タイプ」は、保険契約を途中で解約したときに、解約返戻金が支払われる仕組みです。
解約するタイミングは、自由に決めることができるため、子どもの教育費や老後の資金が必要になったタイミングで解約返戻金を活用することができます。
ただし、あくまで医療保障がメインとなるため、解約返戻金が、支払った保険料よりも少なくなることに注意しましょう。
なお、解約と同時に保障も終了するため、引き続き医療保障を受けたい場合は、新しい保険に加入する必要があります。
女性保険
女性保険は、通常の病気や怪我といった医療保険に、女性特有の病気について保障を上乗せしている医療保険です。
保険料は、年を重ねても一定のことが多く、保険期間は一生涯のものと一定期間だけ保障するものがあります。
通常の医療保険に比べ、保険料が割高になりますが、乳がんや子宮がん、子宮筋腫といった女性特有の疾患の保障が手厚くなります。
女性の皆さんは、万が一を考えて加入しておくと安心ですね。
引受基準緩和型・無選択型医療保険
「引受基準緩和型医療保険」は、一般的な医療保険に比べて、加入時の条件を緩和した医療保険です。
健康状態の告知事項が少ないため、すでに持病をお持ちの方や、医療保険の告知に引っかかる方でも加入しやすいのが特徴です。
ただし、保険料は通常よりも割高になるため、一般の医療保険に加入できる方が、この保険を優先すると損をする可能性があります。
「無選択型医療保険」は、引受基準緩和型保険よりもさらに加入しやすく、健康状態の告知や医師の診断が不要な医療保険です。
したがって、健康状態に自信がない人や持病にかかわらず、誰でも加入することができます。
さらに、ほとんどの病気や事故による死亡について一生涯の保障があります。
しかし、一般的な医療保険よりも保険料は高く、保険金や給付金の上限額は低くなる点には注意したいところです。
また、契約した日から一定期間内に死亡した場合、保険金ではなく、払い込んだ保険料相当額の受け取りになります。
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生命保険と医療保険の違い
さて、上記で説明した生命保険と医療保険のおおまかな違いを、表にまとめてみました。
ここで説明している生命保険は、医療保険と並列で説明しているため、「死亡保険」つまり、人の死亡に関する保障を指しています。
【生命保険と医療保険の違い】
生命保険(死亡保険) | 医療保険 | |
保険金の受給要件 | 加入者が死亡、または高度障害になったとき | 加入者が病気や怪我で入院、手術をしたとき |
保険金受取人 | 契約時に加入者が指定した人(配偶者や子ども等) | 被保険者 |
このように、生命保険(死亡保険)と、医療保険には、保険金を受け取るときの条件と保険金を実際に受け取る人に大きな違いがあることがわかりますね。
違いを理解したうえで、ご自身に必要な保険に加入しましょう。
生命保険と医療保険の選び方
ここからは、自分に適した保険を選ぶために、どのようなことを考慮すべきなのかを考えていきます。
まず、選ぶ際に重要なのが、自分や家族のライフプランを把握し、必要な保障額や保障内容を考えることです。
保険料は高くなりますが、1つの保険にこだわらずにいくつかの保険を組み合わせることで、保障を手厚くする方法もあります。
以下で、自分が生命保険と医療保険のどちらに加入することが向いているのかを確認してみましょう。
生命保険への加入が向いている人
生命保険は、自分が死亡するなど万が一何かがあったときに、配偶者や子どもの生活が困難になる人が向いています。
また子どもが幼く、これから養育費や教育費がかかる人もその例に含まれます。
つまり、残された家族が困らないようにするために加入する保険だと考えると、わかりやすいかもしれません。
医療保険への加入が向いている人
民間の医療保険は、病気や怪我をした場合の、経済的リスクに備えたい人や、将来、先進医療といった高額な治療に備えたい人に向いています。
さらに、病気や怪我の医療費はもちろんですが、病気や怪我で休職中に、本来であれば貰えるはずの収入をカバーすることもできます。
なお、個人事業主やフリーランスなど、「国民健康保険」に加入している方は、「傷病手当金」などに該当する公的な保障を受けられません。
したがって、病気や怪我をしたときに、公的な医療保険だけでは日常の生活の維持が難しくなる可能性が高いため、民間の医療保険の加入が向いているといえます。
生命保険と医療保険へ加入するのはいつ頃がよい?
結論から申し上げますと、「必要を感じたらできるだけ早く」加入するのがよいです。
年齢を重ねるほど死亡リスクが高まり、病気や怪我をしやすくなるため、若いうちは、まだ加入しなくても大丈夫と思われがちです。
ですが、万が一の医療費や、経済的な備えとして保険に20代から加入する人は少なくありません。
それではなぜ、若いうちから早めに加入するとよいのか、2つの理由を以下で紹介します。
理由①保険料が安いため
一般的に、保険料は、加入年齢が若いほど安く設定されます。
若い方のほうが、病気や怪我になりにくく、さらに治りも早いことから、保険会社の支払いリスクが小さくなるためです。
月々の保険料の料金は、「予定死亡率」「予定利率」「予定事業費率」に影響され、これらを年齢別に算出し、決まります。
特に、年齢を重ねても、保険料が一定で保障が生涯続く終身医療保険は、若年層の貯蓄が少ないときに、安い保険料で加入できるのです。
また、結婚を機に大切な人が増えたり、子どもが生まれることによって、将来のお金の不安が増えたりと、ライフステージの変化におけるお金の不安はつきものです。
若いときは、十分な収入が得られない場合が多いので、急な出費に対応できる貯蓄がある方はそれほど多くはありません。
そのため、万が一に備えるのはもちろんですが、将来のために資金準備ができる保険を検討するのもよいですね。
ただし、あまりにも若い時期に加入すると、保険料を支払うトータルの期間が長くなるため、
保険料が高い高齢の方よりも、支払総額が多くなる場合があります。
就職や結婚、出産といった人生の大きなタイミングのときに、医療保険への加入を検討するのがベストでしょう。
関連記事:大学生も生命保険に加入すべき?おすすめの保険も紹介
理由②加齢にともない健康リスクが高まるため
年を重ね、過去に入院や手術歴、健康診断や人間ドッグに異常があると、健康上の理由でそもそも保険に入ることができない場合があります。
何かが起こってから保険の加入を考えるのはもう遅い、とならないように、健康な若いうちから、将来必要になる保障を確保することは大切です。
関連記事:生命保険は何歳までに加入する?世代別の割合について解説
生命保険と医療保険はそれぞれ保障内容に特徴があるため自分に何が必要かを考えて加入する
いかがでしたでしょうか?
生命保険と医療保険は、大きく保障内容と保障金受取人に違いがあり、人それぞれ必要な保障やプランは異なります。
したがって、自分自身や家族に必要な保険は何かを考える必要がありますし、長年同じ保険に加入中の方は、一度見直してみるのもよいでしょう。
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