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保険の終身・定期とは?それぞれの概要とメリット・デメリット

2022.10.18

生命保険(死亡保険)を選ぶときに、頭を悩ませるのが定期保険と終身保険の選択です。両者の違いがわからず困っている方もいるでしょう。結論から述べると、定期保険と終身保険では、保障を受けられる期間が異なります。また、保険料や貯蓄性などにも大きな違いがあります。同じ生命保険でも特徴は異なるため、目的に合わせて選択することが重要です。

この記事では、定期保険・終身保険の概要とそれぞれのメリット・デメリット、種類などを解説しています。以下の情報を参考にすれば、両者の違いを理解して目的に合わせた保険商品を選べるようになるはずです。「定期保険とは」「終身保険とは」などが気になる方は、参考にしてください。

そもそも定期保険とは?

定期保険は、保障を受けられる期間が定められている保険です。つまり、あらかじめ定められた一定期間内に保険事故が起きると保険金の支払いを受けられます。期間の定め方は、以下の2つにわかれます。

【期間の定め方】

  • 年満了:年数をもとに期間を定める方法
  • 歳満了:被保険者の年齢をもとに期間を定める方法

5年満了、10年満了のように年数で期間を定める方法が年満了です。例えば、5年満了では、契約を締結した日から5年間が保障期間になります。65歳満了、75歳満了のように年齢で期間を定める方法が歳満了です。例えば、65歳満了では契約を締結した日から被保険者が65歳になって最初に迎える契約応当日の前日までが保障期間になります。

保険料の扱いにも特徴があります。定期保険は、いわゆる掛け捨て型と呼ばれる保険です。掛け捨て型保険は、満期保険金や解約返戻金がない保険商品を指します。したがって、保険事故が起きずに満期日を迎えても、保障期間中に解約しても、満期保険金などは受け取れません。掛け捨て型保険は、貯蓄性の低い保険です。一方で、保険料は抑えやすい傾向があります。

関連記事:生命保険の掛け捨てとは?特徴やメリット・デメリットを詳しく解説

定期保険のメリット

代表的なメリットは次の3点です。

貯蓄型保険より保険料が安い

定期保険の最も大きなメリットは、同条件であれば終身保険よりも保険料が安いことです。ちなみに終身保険は、貯蓄型保険に分類されます。

定期保険は払込保険料が返ってこないため、保険料は安くても損だと思われることが少なくありません。一見すると正しいように思えますが、掛け捨て型保険は貯蓄目的の保険料を支払っていないだけです。言い換えると、貯蓄型保険は貯蓄目的の保険料を支払っているため解約返戻金などを受け取れます。したがって、どちらが損、得ということはできません。目的に合わせて選択することが重要です。定額保険は、保険料を安く抑えたい方や一定期間だけ保障を手厚くしたい方などに向いています。

関連記事:生命保険で積立?貯蓄型のメリット・デメリットで向いている方が分かる

大きな保障が準備できる

2つ目のメリットとしてあげられるのが、大きな保障を準備できることです。保険料が安いため、大きな保障を準備しやすくなります。必要な期間に限って保障を手厚くできる点も魅力です。前述の通り、定期保険はあらかじめ定められた期間を保障します。したがって、必要保障額が大きい期間だけ定期保険に加入するなどの使い方ができます。例えば、終身保険と組み合わせて、子どもが独立するまでは保障額を手厚くしてもよいでしょう。割安な保険料で大きな保障を準備できるため、さまざまな活用方法が考えられます。

保険を見直しやすい

ライフステージの変化などに合わせて保険の見直しを柔軟に行える点も魅力です。柔軟性が高い理由は、解約返戻金がない場合が多いからと言えるでしょう。解約返戻金のある保険は、解約のタイミングを慎重に見極めなければなりません。早期に解約すると、払込保険料が解約返戻金を下回ってしまうからです。

また、保障期間に限りがあるため見直しやすい面もあります。更新のタイミングで見直せるからです。「子どもが進学するまで」「定年退職するまで」のようにスケジュールを組んでおくと、保障と保険料の無駄を省きやすくなります。ライフプランに合わせて活用しやすいといえるでしょう。

関連記事:保険見直しで注目したいポイントとは?期待できるメリットも確認

定期保険のデメリット

定期保険には、気を付けたいデメリットもあります。代表的なデメリットは次の3つです。

貯蓄性がない

満期保険金や解約返戻金がない場合があるため、定期保険を貯蓄目的で活用することは基本的にできません。「保険料を払いつつ老後資金を貯める」などにはあまり向いていないといえるでしょう。ただし、貯蓄に全く活用できないわけではありません。保険料を浮かせて貯蓄に回すなどは可能です。例えば、浮いた保険料などを元手に住宅ローンの繰り上げ返済をすれば大きな節約につながる可能性があります。注意点は、自分でお金を管理しなければならないことです。余裕があると使ってしまう方などは、貯蓄性の高い保険を選ぶほうがよいかもしれません。

更新すると保険料が上がる

契約している定期保険が年満了であれば、満期を迎えると基本的に更新できます(歳満了は一部の保険商品を除き更新できません)。ただし、更新後の保険料は、更新時の年齢や保険料率をもとに再計算されます。したがって、更新のたびに保険料は高くなることが一般的です。更新前の保険期間が長い場合は、保険料が大幅にあがることもあるでしょう。同じ保障内容では更新が経済的に難しくなることも考えられます。

更新に限度がある

定期保険は希望する年齢まで更新できない場合があります。例えば、年満了の保険商品は、更新できる年齢に限度が設けられています。したがって、一定の年齢を迎えると、希望しても更新できません。

歳満了の保険は、一定期間に限り保障を受けられる保険商品が一般的です。希望を問わず更新できないことが少なくありません。

年満了・歳満了のいずれを選んでも一生涯の保障を実現することは少し難しいといえるでしょう。以上の特徴を踏まえて、更新できる年齢と保障が終わった後のライフプランを確認してから保険商品を選ぶことが重要です。

定期保険の見直すタイミングは?

定期保険は、どのようなタイミングで見直せばよいのでしょうか。基本的なタイミングは次の通りです。

人生のパートナーができたとき

結婚で人生のパートナーができたときは定期保険を見直しましょう。働き手に万が一が起きると、遺されたパートナーが経済的に困ってしまう恐れがあるからです。必要保障額を計算して保険金を設定し直す必要があります。具体的な必要保障額は、片働き世帯、共働き世帯などの条件で異なります。詳しい計算方法は、次の「子どもが生まれたとき」で解説します。

子どもが生まれたとき

子どもが生まれたときも、見直しが必要なタイミングです。子どもが生まれると、働き手の万が一に備えて教育費や生活費を用意しなければなりません。必要保障額は以下の計算式で求められます。

【必要保障額】

  • 必要保障額=死後の総支出-死後の総収入

死後の総支出は「末子が独立するまでにかかる生活費、末子が独立してからかかる生活費、その他費用(住居費や教育費など)」の合計、死後の総収入は「社会保障・企業保障、保有資産」の合計です。以上の差額を死亡保険で準備しなければなりません。必要保障額は、末子の誕生で増加、末子の成長で減少します。状況に合わせて定期保険などを見直すと、保障と保険料の無駄を省けます。

関連記事:生命保険に毎月いくら払ってる?世代や家族構成、年収別の平均を解説

マイホームを購入したとき

住宅ローンを利用してマイホームを購入すると、基本的に団体信用生命保険に加入することになります。団体信用生命保険は、被保険者が死亡したときや高度障害状態になったときに、保険会社が住宅ローン残債に相当する保険金を被保険者に代わり金融機関へ支払ってくれる保険です。したがって、団体生命信用保険に加入する場合は、定期保険で住宅ローンの返済に備える必要はありません。マイホーム購入に備えて大きな保障を用意していた方は見直しを進めるとよいでしょう。団体信用生命保険に加入しない場合は、定期保険を見直して万が一に備える必要があります。

定期保険の種類

定期保険はいくつかの種類に分けることができます。代表的な定期保険としてあげられるのが逓減型と年金型です。

定期保険の『逓減型』とは?

一定期間ごとに保険金額が減少する定期保険です。したがって、年数を経過するほど保険金額は少なくなります。一方で、年数を経過しても保険料は変わりません。そのため、保険金額が変わらないタイプの保険よりも保険料は安く設定されています。以上の特徴があるため、子どもの成長に合わせて保障を用意したいときなどに向いています(成長とともに必要保障額は減少するため)。

定期保険の『年金型』とは?

死亡保険金が年金形式で支払われる定期保険です。この特徴から収入保障型と呼ばれることもあります。死亡保険金を、年金形式ではなく一時金形式で受け取ることも可能です。ただし、この場合は逓減型と同じ仕組みになります。年金型のメリットは、月々の支給額を考えられるため保険金額の設定が簡単なことです。遺族の生活を安定させたいときなどに向いています。

そもそも終身保険とは?

保障が生涯にわたり続くタイプの保険を指します。被保険者が万が一のときに保険金が支払われます。ポイントは、加入時の保険料が変わらないことです。

保険料の払込方法は、終身払と有期払にわかれます。前者は保険料の支払いが生涯にわたり続くタイプ、後者は保険料の支払いが一定期間で終了するタイプです。例えば、老後に備えて払込期間を65歳に設定することなども可能です。他の条件が同じであれば、1回あたりの保険料は終身払のほうが安くなります。

解約時に支払われる解約返戻金が多い点も終身保険の特徴です。ただし、具体的な金額は解約の時期などで異なります。解約返戻金が払込保険料を上回ることもあれば下回ることもあります。終身保険を解約する場合は、そのタイミングと解約返戻金に注意しなければなりません。

終身保険のメリット

終身保険にはメリットとデメリットがあります。まずは、メリットを見ていきましょう。

死亡や高度障害の保障が一生涯続く

主なメリットとしてあげられるのが、生涯にわたり保障が切れ目なく続くことです。解約をしない限り、タイミングを問わず一定のお金を遺族に残せます。安定感が魅力の保険商品といえるでしょう。

将来に備えた資産づくりなど貯蓄性がある

貯蓄性が高い点も終身保険の魅力です。解約返戻金があるため、万が一に備えつつ資産形成を行うことができます。例えば、65歳で解約して老後資金を捻出するといった活用方法も考えられるでしょう。支払われる解約返戻金は、時間の経過とともに増えていきます。

加入時の保険料が変わらない点もポイントです。定期保険よりも割高ですが、更新がないため値上がりすることはありません。若いときに加入しておくと、保険料を抑えられます。将来を見据えて早めに加入することで、負担感を減らしつつ資産形成できる可能性があります。

相続時の対策になる

終身保険に限ったメリットではありませんが、生命保険を相続税対策に活用できる点も見逃せません。相続税対策になる理由は、生命保険金には非課税限度額が設けられているからです。具体的には、以下の金額が非課税になります。

【非課税限度額】
非課税限度額=500万円×法定相続人の数

法定相続人が3人であれば、非課税限度額は1,500万円です。この金額は、相続税の課税対象になりません。相続税額を抑えたいときに活用できます。

終身保険のデメリット

終身保険には、デメリットもあります。次の点には注意が必要です。

掛け捨て型保険より保険料が高い

解約返戻金がある点は魅力ですが、同じ条件であれば保険料は定期保険よりも高くなります。保障目的の保険料に加え、貯蓄目的の保険料も支払わなければならないからです。資産形成を目指していたとしても、保険料が高すぎると終身保険の継続は難しくなります。収入に合わせた保険料に設定することが重要です。ちなみに、貯蓄目的で支払った保険料は、保険会社により運用されます。したがって、契約期間が長くなると、払込保険料よりも解約返戻金のほうが多くなる場合があります。

保険の見直しがしにくい

保険の見直しを簡単に行えない点にも注意が必要です。早期に解約すると払込保険料が解約返戻金を下回るため、定期保険のように簡単には見直せません。また、更新手続きがないため、加入してから見直しを忘れてしまう方も多いようです。面倒な手続きがない点は便利ですが、見直しを怠るとライフプランと保障内容がずれてしまいます。必要な保障を受けられるように、定期的に見直しておくことが重要です。

終身保険の種類

代表的な終身保険として、低解約返戻金型終身保険と定期保険特約付終身保険があげられます。それぞれの特徴は次の通りです。

低解約返戻金型終身保険

一般的な終身保険よりも払込期間中の解約返戻金が少ない代わりに、保険料が割安になるタイプです。払込期間中の解約返戻金は、一般的な終身保険の7割程度に設定されます。払込期間終了後の解約返戻金は、一般的な保険商品と同じレベルです。したがって、払込期間中に解約しなければ、割安な保険料で充実した保障を受けつつ資産形成を行えます。早期解約は難しいため、よく考えたうえで活用したい終身保険といえるでしょう。

定期保険特約付終身保険

終身保険(主契約)に定期保険特約をプラスして、ある時期の保障を手厚くできるタイプです。定期保険特約の期間により全期型と更新型にわかれます。全期型は定期保険特約の期間を終身保険の払込期間と合わせたもの、更新型は定期保険特約の保険期間を終身保険の払込期間より短くしたものです。全期型の保険料は期間を問わず一定ですが、更新型の保険料は更新のたびに高くなります。特定の期間だけ保障を手厚くしたい方に向いていますが、特約部分を他の保険商品で補うことも可能です。比較検討を進めてから選びたい終身保険といえるでしょう。

目的に合わせて定期保険と終身保険を選択

いかがでしたか?今回は定期保険と終身保険の違いについて解説しました。同じ生命保険であっても、両者の特徴は大きく異なります。加入する目的やライフプランに合わせて選択することが重要です。保険商品選びに悩む場合は、保険の専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

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