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2024年からスタートする新NISAとは?旧NISAの新NISAとの違いを解説

2024.01.22

NISAとは、株式や投資信託で得られた利益を非課税にし、個人の資産運用支援を目的とした制度です。
政府の「令和5年度税制改大綱」より、国民の資産形成をさらに促進させるため、2024年から新たな新NISA制度がスタートします。
これにより、旧NISAとの違いを知りたい方も多いのではないでしょうか。

本記事では、旧NISAと新NISAの違いを比較しながら解説しています。
新NISAをこれから運用予定の方や、知識を深めたい方はぜひご活用ください。

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新NISAとは?

2024年からスタートする新NISAとは、岸田内閣が推し進める「資産所得倍増プラン」の柱となる新制度です。

そもそもNISAとは、金融庁が推進する小額投資制度です。

旧NISAとして、2014年には「一般NISA」、2018年には「つみたてNISA」が始まりました。
これらの政策目的は、「家庭の安定的な資産形成」をさらに促進するため、国民が投資でリターンを得ても政府は税金を取らない(非課税)というものです。
一方で、上記のように投資するハードルを格段に下げたにもかかわらず、ルールが細かく、使いづらいという課題もありました。

そこで、仕組みを大幅に変更して、この課題をクリアしたのが2024年から始まる「新NISA」です。

参照元:「資産所得倍増プラン」

NISAがつくられた背景

NISAがつくられた背景には、「投資=お金持ちがするもの」という概念を変え、眠っている貯蓄から投資への流れを加速させたい政府の狙いがあります。

少子高齢化により、公的年金の給付水準が下がることが予想されるなか、若い世代が老後を過ごしていくには、年金だけでは厳しい部分があるのも事実です。
現金や預金だけでは大きく資金を増やすことは期待できません。
そこで、個人で投資をし、老後の資金をある程度、自助努力で増やして豊かになってほしいとNISA制度がつくられました。

さらに、国民がたくさん投資することで、企業が投資されたお金を積極的に使えば経済も潤い、活性化します。
その結果、経済的にも良い循環を生むことになるのです。

一般的に、投資で出た利益には、およそ20%の税金がかかりますが、NISAは税金がかからないため、利益がすべて自分のものになります。
NISAの金融商品は、国が定めた厳しい条件をクリアしたもののみ対象ですから、投資が初めての方でも、比較的安心して投資を始められます。

このように、NISA制度は、誰もが気軽に始められる投資を普及させたい、という取り組みから始まりました。

新NISAになることで変わること

第一に、「一般NISA」と「つみたてNISA」とよばれていたものが、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」に名称が変更されます。
成長投資枠は、上場株式などの投資に利用し、つみたて投資枠は投資信託の積立に利用するのが一般的です。

そして、政府の資産所得倍増プランにより、2024年からの新NISAからは、大きく5つの仕組みや制度が変わります。

ここからは、具体的に何が変わるのか、項目ごとに確認していきましょう。

一般NISAとつみたてNISAの併用ができる

新NISAから、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の併用が可能になります。
旧NISAの仕組みでは、資金を分配して投資することができないので、不十分だと感じていた方もいらっしゃるかもしれません。

新NISAでは、成長投資枠とつみたて投資枠が併用できるため、リスクとリターンが高めに設定されている金融商品から、比較的リスクの低い投資信託まで、分散投資が可能です。
投資経験や、ライフステージに合わせて柔軟に商品を選べるようになったことにより、計画的な投資運用ができます。

年間投資上限額が最大360万円に拡大される

新NISAでは、投資上限金額は、成長投資枠とつみたて投資枠を合わせて、年間最大360万円まで拡大されます。

年間の投資上限額は、一般NISAで120万円、つみたてNISAで40万円となっています。
たとえば、つみたてNISAの場合、毎月投資しても、投資額は1か月に3.3万円(40万円÷12か月)が上限です。
そのため、投資に回せる資金がある方は、少し物足りないと感じていたかもしれません。

新NISAのつみたて投資枠なら、年間の投資上限額は120万円と3倍に拡大したため、1か月に10万円もの金額が投資できるようになりました。

最大1,800万円の生涯非課税限度額が新設される

新NISAがスタートすることで、生涯非課税限度額が、最大1,800万円に大幅に拡大されます。
旧NISAにおける非課税投資枠は、一般NISAで最大600万円(年間最大120万円×5年)、つみたてNISAは最大800万円(年間最大40万円×20年)と決まっています。

ここで念頭に置いておきたいのが、新NISAでは、非課税枠の再利用が可能ということです。
旧NISAでは、金融商品を売却しても1年間の非課税投資枠は復活しません。

たとえば、一般NISAで、株式に100万円投資すると残りは20万円となります。
保有している株式を売却したとしても、その年の非課税投資枠は20万円のままで、当初の120万円には戻りません。

一方で、新NISAの非課税投資枠は、投資資産を売却すれば復活する仕組みに変更となりました。
この非課税制度により、積極的な売り買いが可能となることでしょう。
ただし、1,800万円のうち、成長投資枠で利用できるのは、1,200万円までです。
1,800万円を満額利用したい場合は、つみたて投資枠の利用が必要になるので注意しましょう。

非課税保有期間が無期限化される

新NISAでは、成長投資枠とつみたて投資枠ともに、非課税保有期間が無期限化されます。

旧NISAでは、非課税期間が定められていて、一般NISAで5年、つみたてNISAで20年の制限があります。
そのため、保有期間の終了時に、資産の売却、あるいは課税口座への移管のどちらかに決める必要がありました。
しかし、新NISAはこれを完全撤廃し、何十年と投資しようが、無期限で非課税でのメリットを受けることができます。

つまり、従来のように投資信託をいつ売るかを深く考えなくても、じっくりと長期投資が可能になるということです。

制度が恒久化される

2024年以降、新NISA制度が恒久化されます。
一般NISAは2023年まで、つみたてNISAは2042年まで(買い付けは2023年まで)と、実施期間が決められていました。
新NISAでは、恒久化されることによって、期限を気にせずいつでも投資ができて、将来非課税でなくなる心配をしなくてもよいのが安心ですね。

なお、旧NISAで保有していた資産は、2024年から始まる新NISAとは、まったく別物となるため、こちらは決められた非課税期間で保有しましょう。

【ケース別】新NISAへのロールオーバーはできるのか?

一般NISAとつみたてNISAは、新NISAへのロールオーバーはできません。
ロールオーバーとは、NISA口座の非課税期間終了後、保有している金融資産を新たに翌年の非課税投資枠に移行することです。

そのため、非課税期間終了後は、残念ながら資産を売却、または課税口座へ移さなければなりません。
移管後に値上がりした銘柄を売却して、利益が出た場合には、税金が引かれるので、先々課税されることを避けるのであれば、売却するのが最良でしょう。

ちなみに、新NISAでは、非課税期間が無期限化されるため、ロールオーバーという考え方自体なくなります。

それでは、ここからは新NISAが始まるにあたって、旧NISAを運用している方や、初めて運用する方はどのようにすればよいか、ケース別にみていきましょう。

ケース①つみたてNISAをすでに始めている

つみたてNISAは、2023年で制度が終了しますが、すでにつみたてNISAを始めている方は、同じ金融機関から新NISA用の口座が自動的に開設される仕組みになっています。
口座の移行に手続きは特に必要ないので、制度が新しくなるからといって、複雑にならないように工夫されています。
今後も非課税制度を活用し、積立投資を行う場合は、新NISAのつみたて投資枠を活用して継続可能です。

ただし、つみたてNISAで保有している資産は、新NISAのつみたて投資枠へ移行できません。
つみたてNISAの資産は、引き続き20年間非課税で運用できますから、非課税期間が終了するまでに、タイミングを見て売却するか、課税口座に移しましょう。
なお、非課税で運用できる期間が、まだ十分にある場合には、非課税機関の終了まで保有しておくのが適正な判断だといえます。

ケース②一般NISAをすでに始めている

一般NISAも2023年で制度が終了しますが、自動的に同じ金融機関で新NISA用の口座が、新しく開設されます。

一般NISAを運用していて、新NISAでも非課税制度を活用したい場合には、成長投資枠を活用して継続するとよいでしょう。
ただし、一般NISAから新 NISAの成長投資枠へは移行できません。
保有している資産は、非課税で5年間運用可能ですが、非課税期間終了後も運用したい場合、課税口座に移行するか、現金化して新NISAに移すなどの対応が必要です。

また、5年間の運用となると、仮に大きな市場が下落した場合、回復できずに非課税期間が終了してしまう可能性もあります。
購入する商品のリスクも、高くなりすぎないように気をつけるのが大切です。

ケース③ジュニアNISAをすでに始めている

ジュニアNISAとは、親権者が子ども(0~17歳)名義で資産形成できる制度です。
年間80万円まで投資でき、非課税期間は5年間となります。
2023年で制度そのものが終了し、2024年以降も新規買い付けはできません。

ジュニアNISAの商品は、2024年以降、旧NISAの5年間の非課税期間終了後も、18歳になるまでは継続管理勘定へ移管することで、引き続き非課税で保有できます。
18歳を迎えたあとは課税口座へ払い出されます。

これまでジュニアNISAでは、18歳になるまでお金を引き出すことはできませんでしたが、2024年以降は源泉徴収されずに払い出しができるようになりました。
途中で持っている銘柄の価格が上昇したときや、子どもの学費でまとまったお金が必要なときに払い出しができるようになったということです。

ただし、2024年以降に現金を出金する場合は、保有している商品をすべて売却して、ジュニアNISAの口座を廃止する必要があります。
一部の商品だけを払い戻すことはできないので、注意が必要です。

ケース④NISA/つみたてNISAを始めていない

新たにNISAを始めたい方は、新NISA用の口座を金融機関で開設しなければなりません。
旧NISAも新NISAも、口座は1人につき、1つの口座しか開設できないためです。
口座を開く金融機関は、ネット証券や総合証券、銀行の3つであり、途中で変更できますが、その手続きはやや面倒なので、長く付き合える金融機関を選ぶのが賢明です。

それぞれ、口座別に解説していくので、ご自身に合った金融機関を選択しましょう。

①ネット証券

ネット証券は、新NISAのつみたて投資枠で購入できる投資信託の取り扱い本数が、3つのなかでもっとも多いです。
基本的には100本以上、なかには200本を超える取り扱いがあるところもあります。
このあとに紹介する総合証券や銀行の取り扱い本数は20本程度なので、選択肢は格段に多くなります。
特に、多くの選択肢から選びたい方に向いているといえますね。

ネット証券の強みは、なんといっても取引コストです。
取り扱い本数が多い5大ネット証券である「楽天証券」「SBI証券」「マネックス証券」「松井証券」「auカブコム証券」は、国内株式の売買手数料を完全に無料化しています。

一方で、投資信託の取り扱い本数が多く、選択肢が豊富なため、自分自身に合った金融商品を選ぶ知識が求められます。
また、原則対面サポートがないため、疑問点や何か困ったことがあった場合には、サイト上のサポートや、コールセンターに電話して解決しなければなりません。

日頃から何らかのポイントを貯めている方は、そのポイントと相性の良いネット証券を選ぶのもよいでしょう。
昨今人気の「クレカ積立」は、各社ともポイント還元率が高めで、つみたて投資枠でも活用できるので、NISAを運用しながら、ポイントを貯めたい方はネット証券がおすすめです。

②総合証券

総合証券は、大手だと全国に支店を展開しており、対面で相談できることがメリットです。
資産形成のためのセミナーを開いていることも多く、投資情報も充実しています。
ただし、証券会社が勧めてくる金融商品が、必ずしも自分の投資方針に合っているとは限らないので、最低限の金融知識はあらかじめ持っておくと安心です。

また、店舗運営のコストや人件費を反映してか、売買手数料は高めに設定されているところが多いのも特徴です。
新NISAのつみたて投資枠では、長期で運用していく方も多いので、こうしたコストが積み重なっていくことは念頭に置いておきましょう。

なお、ネット証券に比べると、取り扱う投資信託は20本程度とかなり少ないです。
「多くの選択肢から選ぶのは自信がない」という方には、おすすめされた投資信託を選ぶことはメリットに感じられる場合もあります。

③銀行

銀行で口座を開くメリットは、証券会社と同じく対面で相談できる点です。

銀行は、証券会社に比べると、身近に感じられることも多く、窓口でNISAの口座開設を勧められたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
新NISAや投資関連にかかわらず、ローンや教育、相続などのお金に関する相談を幅広く対応している銀行も多いようです。
ライフステージに応じて資金全般を相談したい方にとっては、銀行で口座を開設することも一つの選択肢です。

一方で、銀行では、「上場株式」や「ETF」は取り扱いがないため、購入することができません。
新NISAで「IPO(新規公開株)に投資したい」「高配当の株を買ってみたい」とお考えの方は、必然的にネット証券か、総合証券を選択することになります。
また、つみたて投資枠の取り扱い本数の、メリット、デメリットも確認しておきましょう。

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新NISAの注意点

新しいNISA制度が、格段にパワーアップすることはお分かりいただけたかと思いますが、気をつけなければならない注意点がいくつかあります。

注意点①自分で判断する場面が増える

まず、新NISAでは、自由度が増したぶん、自分で判断する場面が増えるということです。

一般NISAやつみたてNISAは、一度売却してしまうと、その年の非課税投資枠を再利用できない仕組みでした。
新NISAでは、投資資産を売却すれば、枠の再利用ができるようになり、投資の自由度が上がります。
つまり、柔軟に運用できるぶん、買ったときよりも時価が値下がりしている状態(含み損)の売却判断や、売却後の投資先など、自分で判断すべき場面が多くなります。

注意点②売却判断が難しくなる

新NISAにおける非課税保有期間の無期限により、売却判断がさらに難しくなりました。

つみたてNISAには、非課税保有期間が20年以内という制限があります。
そのため、非課税期間終了直前に暴落してしまう可能性を考えて、15年目頃に売却するタイミングを考えるというように、ある程度判断ができました。
しかし、新NISAでは、非課税期間や投資可能期間に制限がなく、いつまでも資産を保有しておけるようになったため、自分で売却するタイミングを考える必要があります。

注意点③元本割れのリスクがある

新NISAも、元本割れのリスクを考慮しなければなりません。

新NISAの多くは、投資信託を活用して積立投資を行います。
投資信託の内容によっては、株価の変動などにより、日々価格が変動します。
小額から積立分散投資がしやすいという反面、元本保証ではないため、運用実績が悪い場合は、元本割れのリスクがあることも忘れないでおきましょう。

注意点④無理のない積立金額を設定する

基本的に新NISAを運用するうえで大切なのは、積立金額を長期運用することを前提とした、無理のない金額で設定することです。

将来を見据えて、資産を大きく増やすためには、20~30年以上の長期で投資する必要があるといわれています。
そのため、長期投資を行う際は、毎月無理なく積み立てられるような金額を設定しましょう。
小額でも、コツコツと長期積立投資を行えば、福利効果によって効率的にお金を増やすことが期待できます。
投資に慣れて回せる資金が増えてきたら、あとから積立金額を増やすのもよいですね。

NISAを始めるベストタイミングとは?

新NISAは、「思い立ったら、なるべく早く始めること」がベストなタイミングです。

投資は、長期投資を心掛けることで成功しやすくなります。
さらに時間を味方にできれば、福利効果を最大限に発揮することができ、より多くの利益を得られるでしょう。
また、忘れてはならないのが、株式や債券、投資信託などで投資運用を行う場合は、価格変動がつきものということです。

とは言っても、リーマンショックやコロナショックといった想定外の事態が起こり、自分の資産が急激に下落するとなれば、誰もが不安になるのは当然のことです。
下落や暴落が起きたとしても、長期的な視点で見ると、多くの資産は時間とともに回復することが一般的です。
たとえば、2008年に起こったリーマンショックでは、先進国株式は円ベースで約4年、新興国株式では約2年で元の値段まで回復しています。

つまり、着実に資産を形成していくためには、積立投資を継続し、短期的な価格変動に振り回されないことが重要なので、下落時に投資を始めても特に問題はありません。

旧NISAと新NISAの違いや特徴を理解して、投資による資産形成で将来に備えましょう

いかがでしたでしょうか?

2023年で終了する旧NISAと2024年からスタートする新NISAでは、多くの変更点があり、より活用しやすいものになります。
新NISAは、口座開設期間や非課税期間が無期限になったので、これを機に将来の資産形成をしたいと思われている方も多いでしょう。
現在、旧NISAを運用している方は、新NISAの移行は自動で行われるため、すぐに運用できます。
なお、それでも投資に不安がある方は、積立保険に加入し、将来に備えるのも一つの手です。

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この記事を書いた人

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