生命保険を解約せざるを得なくなったら?最適なタイミングを解説
2024.01.22
家庭環境の変化や経済的な事情から、生命保険の解約を検討されている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、もしものことを考えると、本当に生命保険を解約してよいものか、判断に迷うところですよね。
そこで本記事では、生命保険を解約する最適なタイミングと、解約にともなうメリット・デメリットを解説します。
「できる限り損しないように生命保険を解約したい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
そもそも生命保険とは?
解約に適したタイミングを解説する前に、生命保険の基礎的な知識をおさらいしておきましょう。
生命保険とは、被保険者が病気や怪我をした場合や、亡くなった場合に、保険金や給付金を受け取れる制度のことです。
保険金や給付金は、大勢の加入者が支払っている保険料によって賄われています。
関連記事:生命保険とは?役割や種類、加入するメリットやデメリット
生命保険の種類
生命保険は、以下の通り主に4つに分類され、さらに該当する保険に分かれます。
【生命保険の種類】
分類 |
該当する保険 |
内容 |
死亡保険 |
定期保険 |
決められた保障の期間内で被保険者が死亡したとき、あるいは定められた高度障害になった際に、保険金が支払われる |
終身保険 |
保険の適用が一生涯続き、被保険者が死亡した際は必ず保険金が支払われる | |
生存保険 |
学資保険 |
将来の学費の備えとして保険料を積み立て、期間満了後に保険金として受け取る |
個人年金保険 |
老後資金として保険料を積み立て、期間満了後に保険金として受け取る | |
生死混合保険 |
養老保険 |
死亡保険と生存保険の両方の特徴を兼ね備えた保険 被保険者が保障期間内に死亡または高度障害になったときだけではなく、保障期間満了後に生存している場合にも保険金が支払われる |
その他の保険 |
医療保険 |
被保険者が病気や怪我で入院・手術した際に給付金が支給される |
介護保険 |
被保険者が要介護状態になった際に給付金が支給される |
上記のうち、終身保険や学資保険、養老保険は保険料の積み立てが可能な貯蓄型であり、解約した場合は返戻金を受け取ることができます。
解約時の返戻金については、後ほど詳しくご説明いたしますので、引き続きご覧ください。
生命保険の解約に適したタイミング
もし、生命保険を解約するなら、ここで紹介する3つのタイミングを覚えておきましょう。
新しい生命保険に加入したとき
同じ種類の新しい生命保険へ加入したのであれば、それまで入っていた生命保険の解約を前提として考えても良いかと思います。
ただし、乗り換え先が決まっていない状態で解約するのは、推奨しません。
なぜなら、新しい生命保険の加入が決まるまでは無保険状態となり、その期間中にもしものことがあっても、なんの保障も受けられないからです。
保障が得られないリスクをなくすためにも、それまでの生命保険を解約するのは、必ず次の生命保険への加入が決まってからにしましょう。
関連記事:保険の乗り換えで生じるメリットと乗り換え時に気を付けたいポイント
まとまったお金が必要になったとき
生命保険の解約に適したタイミングとしては、まとまったお金が入り用になったときも挙げられます。
生命保険を解約すると、返戻金を受け取れる場合があるほか、それまで支払っていた保険料を別の用途に使えます。
なお、返戻金を受け取れるのは、保険料を積み立てるタイプだけであり、掛け捨てタイプの保険には該当しません。
解約返戻金が保険料総額よりも多いとき
先述した解約返戻金は、保険料の払込期間が満了していない場合は、それまで支払ってきた保険料の総額より少なくなる可能性もあります。
ですので、できる限り損せずに返戻金を受け取りたいのであれば、返戻金の額が保険料の総額を上回る期間満了のタイミングまで待ってから解約しましょう。
解約返戻金の額は、生命保険証券や設計書等で確認可能です。
しかし、一部の生命保険では、解約返戻金が保険料の総額を上回らないケースも存在します。
そのような場合は、返戻金が少しでも多くなるタイミングを見計らって、解約することも頭に入れておきましょう。
関連記事:生命保険は何歳から何歳までに加入する?世代別の割合について解説
生命保険を解約する際のメリット
生命保険は安易に解約するべきではありませんが、解約によって一定の成果が得られるのも確かな事実です。
そこでここからは、生命保険を解約した際に得られる3つのメリットを解説します。
保険料の支払いがなくなる
保険料の支払いがなくなるのは、メリットの一つです。
生命保険は、内容次第では月に数万円もの保険料がかかるので、人によってはかなりの負担になります。
また、契約更新によって保険料が高くなり、支払いつづけるのが難しくなったという方もいらっしゃるでしょう。
万が一に備えるための生命保険ではありますが、その保険料が家計を圧迫しては、元も子もありません。
以上を踏まえると、生命保険を解約し保険料の支払いをなくすことは、家計負担を減らすのに効果的な選択肢と言えます。
返戻金がもらえることがある
すでに述べたように、積み立てタイプの生命保険は、解約すると解約返戻金を受け取れます。
保険の内容や解約するタイミングによっては、まとまった返戻金を手にできる可能性もあるので、教育資金や老後資金を補填する手段にできます。
ライフスタイルに合った生命保険に変更できる
既存の生命保険を解約すれば、そのときのライフスタイルに合った新しい生命保険に乗り換えるチャンスが生まれます。
結婚や出産などで生活環境が変化すれば、必要な保障の内容も変わるので、生命保険の見直しが必要になるかもしれません。
また、保障内容が充実している新しい保険に乗り換えたい、というケースもあるでしょう。
そうしたタイミングで生命保険を解約し、新しい保険を検討するのは賢明な判断です。
ですが、先程の注意点のように次の生命保険に加入する前に生命保険を解約してしまうと、無保険状態となり、保障を受けられない期間が出来てしまう点は留意しておきましょう。
生命保険を解約する際のデメリット
生命保険の解約には、それなりのメリットがあるとわかりました。
しかし、決して看過できないデメリットも存在しています。
解約する生命保険の保障が受けられなくなる
生命保険を解約すれば、当然それまで約束されていた保障や特約は、受けられなくなります。
保障がなければ、入院や治療にかかる費用はすべて自己負担となるうえに、ご自身が亡くなったあと、ご家族に生活費を残すこともままなりません。
次の生命保険への加入が決まっているのであれば問題ありませんが、そうではないのなら、生命保険の解約は慎重に検討するべきです。
解約返戻金が元本割れすることがある
生命保険を解約した場合に戻ってくる、解約返戻金は必ずしも元本、つまりそれまで支払ってきた保険料の総額以上になるとは限りません。
解約返戻金は、契約期間が長くなるほど増えていき、そのうちに元本の額を超える場合もあります。
ただし、解約返戻金の額が元本を超えるのは、基本的に保険料の払込期間が終わってからになります。
途中解約で元本割れせずに返戻金を受け取れる可能性は低いので注意しましょう。
それでも解約返戻金が必要になるのであれば、事前にその額を確認しておき、納得したうえでの解約をおすすめします。
新たな生命保険には加入できない可能性がある
「生命保険を解約しても、必要に応じて新しいのに加入すれば問題ない」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、状況によっては、新しい生命保険には加入できない可能性があるため、注意が必要です。
生命保険に加入する際は、その時点での年齢や健康診断の結果、過去の病歴などを告知したうえで、保険会社から承諾を得る必要があります。
そのため、過去に生命保険に加入したときと比べて健康状態が悪化している、あるいは高齢になっていると、たとえ同じ条件でも加入を断られる可能性があるのです。
また、加入できたとしても、保険料の増加や、特定部位の疾病に対しては保障されないなどの不利な条件がつくことは、避けられないでしょう。
解約返戻金の受け取りまでにタイムラグがある
解約返戻金は、生命保険を解約してすぐに受け取れるわけではありません。
支払いまでの期間は保険会社によって異なりますが、一般的には、解約書類が受理されてから5~10営業日ほどです。
「なんですぐに振り込まれないんだ」とあとから慌てないためにも、解約返戻金がいつ支払われるかは、事前に確認しておきましょう。
生命保険を解約せずに保険料を減らす方法
もし、保険料の高さを理由に生命保険を解約しようとしているなら、一旦考え直したほうがよいかもしれません。
実は、今の生命保険に加入したまま保険料を減らす方法があるのです。
以下にその方法を整理しましたので、ぜひお役立てください。
部分解約する
加入している生命保険を一部解約すれば、保険料を安く抑えられます。
ライフスタイルが変化すれば、必要とされる保障内容や特約も変わりますから、定期的な見直しは必要です。
たとえば、お子さまが独り立ちされたのであれば、死亡保障をなくしても大きな問題はないでしょう。
また、受け取る保険金を減らして保険料を下げるという手もあります。
このように、保障や特約の内容を一部削る、あるいは変更することで、保険料の見直しが図れます。
払済保険に変更する
積み立てタイプの生命保険に加入しているなら、「払済保険」を検討してみてください。
払済保険は、その時点での解約返戻金を、残りの保障期間分の保険料に充てることで、以降保険料の支払いを中止する制度です。
これを利用すれば、保障期間はそのままに、保険料の支払いだけが不要になるので、毎月の負担を大きく軽減できます。
また、払済後でも、契約を継続していれば解約返戻金は再度増えていくため、返戻金がまったく受け取れなくなる心配もありません。
しかし払済保険では、特約が解約され、保険金の額も減少するので、その点が許容できる方のみ利用することをおすすめします。
延長保険に変更する
「延長保険」は、保険料の払い込みを中止し、そのときの解約返戻金をもとに保険金額が同じ保険へ切り替えるものです。
ただし、延長保険は保障期間が限定される定期保険になるため、保障期間の長さは維持できず、特約もすべてなくなります。
払済保険と異なり保険金の額が変更されないので「保険金を減らしたくない」という方は、こちらを検討してはいかがでしょうか。
契約者貸付を利用する
一時的にお金が必要なときは、解約返戻金を受け取るのではなく、「契約者貸付」を利用するのも一案です。
契約者貸付では、その時点での解約返戻金の額を上限とし、保険会社からお金を借りることができます。
保険に加入したまま一時金を調達できるので便利ではありますが、あくまでも貸付なので、利息もかかりますし、返済しないとだんだんと利息がかさんでいきます。
また、契約者貸付を受けたまま被保険者が死亡、あるいは保険を解約すると、貸付の額だけ保険金や解約返戻金が減額されます。
さらには、利息によって返済額が解約返戻金の額を超えると、保険が失効されてしまうので、必ず返済計画を立ててから利用しましょう。
関連記事:生命保険に毎月いくら払ってる?世代や家族構成、年収別の平均を解説
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生命保険を解約する前に押さえておくこと
「いろいろ検討してみたけど、やっぱり生命保険を解約したほうがよさそう」という結論に至ることも、もちろんあるはずです。
生命保険を解約する際は、以下の2つのポイントを事前に押さえておきましょう。
解約返戻金に税金がかかるかどうかを確認する
解約返戻金は、受け取り時に税金がかかる場合があります。
その際に理解しておく必要があるのが、解約返戻金にかかる税金は、誰が受け取ったかによって異なるという点です。
解約返戻金を受け取るのが被保険者の場合
被保険者と受取人が同一人物の場合、解約返戻金には基本的に所得税が課されます。
このとき、実際に課税の対象となる金額は、以下のように求めることができます。
課税の対象額={(解約返戻金-払ってきた保険料の総額)-特別控除額(50万円)}×1/2
この式からもわかる通り、解約返戻金が払ってきた保険料よりも少ない、あるいは差額が50万円に満たないなら、所得税はかかりません。
差額が50万円以上になる場合は、その半分が所得とみなされるので、給与所得や不動産所得などと合算したうえで、所得税がかかります。
ただし、契約期間が5年以下の保険は、所得税ではなく源泉分離課税の対象となるケースがあり、その場合は一律20.315%で税金を計算する必要があります。
解約返戻金を受け取るのが被保険者ではない場合
一方で、被保険者以外の方が解約返戻金を受け取るなら、課されるのは贈与税となります。
課税の対象となる金額は、以下の式で算出可能です。
課税の対象額=解約返戻金-基礎控除(110万円)
つまり、解約返戻金が110万円以上の場合のみ、贈与税がかかるわけです。
ただし、解約返戻金以外にも贈与にあたる一時金があるなら、そちらも合算して計算しなくてはなりません。
なお、契約が満期を迎えた際に受け取れる満期保険金についても、同じように所得税あるいは贈与税の計算が必要になるので、覚えておきましょう。
外貨建ての保険は為替リスクに注意を払う
加入していたのが外貨建ての保険だった場合、解約返戻金は外貨で支払われるため、日本円に換算する際はそのときの為替相場の変動による影響を受けます。
保険を契約したときよりも円高が進行していれば、解約返戻金を日本円にしたときの額は、契約時の見込み額を下回ります。
そのため、外貨建ての保険を解約するタイミングは、為替相場の動向も踏まえて検討する必要があるのです。
関連記事:ドル建ての生命保険とは?メリット・デメリットも紹介
生命保険の解約手順
最後に、生命保険を解約する手順を解説します。
ほとんどの生命保険は、以下の流れで解約することが可能です。
【生命保険を解約する流れ】
- 窓口やコールセンター、営業担当者を通じて、保険会社に解約の申し出を行う
- 保険会社から解約請求書が届き次第、必要事項を記入し、必要書類とともに保険会社へ提出する
- 解約請求書の内容に不備がなければ受理され、解約が成立する
- 解約手続き完了の通知が届き、解約返戻金が支払われる
なお、保険を解約できるのは、原則として契約者本人 のみです。
しかし、事情により契約者が手続きできない場合は、代理人が解約手続きを進めることができます。
生命保険を解約するタイミングは次の保険の状況や解約返戻金の額で決める
いかがでしたでしょうか。
生命保険の解約には重大なデメリットがともなうので、熟慮することが大切です。
最終的に解約すると決めた場合は、次の保険への加入が決まっているか、解約返戻金の額が十分かどうかでタイミングを判断しましょう。
また、保険に関する金銭的な負担は軽減できる方法があるので、もしお悩みであれば、専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
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